――どのような夫婦生活を送ればよいのでしょうか?
フランスで結婚する時に、うちの女房に言われた言葉をお贈りします。「結婚するまでは、お互いの目を見合っていればいい。結婚したと同時に、手を取り合って、ひとつの方向に歩み始めることが、結婚だ」いい言葉でしょう。35年間の結婚生活の経験からこれに追加するなら、「手を取り合って、二人で一つの方向に行くのですけど、つねに奥さんがどっちを見ているかを見て、それに視線を合わせるということをしていかなければいけない」と。まあ、半分ジョークですけどね(笑)。
――仕事に一生懸命になるあまり、ちょっと家庭への注意が薄くなってしまうんですね。
日本は、手に手を取り合わないで、手を離してしまう。離れていってしまう。で、最後に、仕事を辞めた時に、「おい、お前」と言って戻ろうとしても、戻れるわけがない。だから、つねに夫婦単位で動くことは、豊かな人生をおくるうえで非常に重要なこと。もちろん仕事はプロフェッショナルとして動かなければいけないけれど、自分の生活を豊かにすることが最終目標だっていうことを、つねに頭の中に入れていかなければならない。夫婦生活って言うのが、最後の生活の拠り所だ、ってことを覚えておかないと、さびしい老後を過ごすことになります。
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吉越浩一郎(よしこし こういちろう)
前トリンプ・インターナショナル・ジャパン代表取締役社長/吉越事務所代表 |
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経歴
1947年生まれ千葉県出身。大学卒業後、極東ドイツ農産物振興会、メリタジャパン、メリタカフェを経て、1983年、トリンプ・インターナショナル(香港)に入社。プロダクトマネージャー、リージョナル・マーケティングマネージャーを歴任する。1986年より、トリンプ・インターナショナル・ジャパンに転属。マーケティング本部長、同副社長を経て、1992年より代表取締役社長に就任する。その際、ドイツと香港での職務経験より、日本の職場における生産性の低さを痛感する。
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以来、仕事の効率と生産性を向上させるためのユニークな制度を次々に取り入れ、当時低迷していた外資系下着メーカー「トリンプ・インターナショナル・ジャパン」を、19年連続増収増益に導いた。現在、これらの生産性向上の取り組みは、多くの企業で倣われている。2006年の退任後は、吉越事務所代表として企業向け講演活動などを行っている。 |
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