Q 文化庁の調査にも取り上げられた慣用句と熟語の問題です。
本来の意味はどちらでしょうか?
「本心でない上辺だけの巧みな言葉」を何といいますか?
   □ あ.口先三寸
   □ い.舌先三寸
「何か食べたくなる、転じてあることをしてみようという気持ちになる」を何といいますか?
   □ あ.食指が動く
   □ い.食指をそそられる

「ひっきりなしに続くさま」を何といいますか?
   □ あ.のべつくまなし
   □ い.のべつまくなし

「失笑する」とはどういう意味ですか?
   □ あ.こらえ切れず吹き出してしまう
   □ い.笑いも出ないくらいあきれる

「割愛する」とはどういう意味ですか?
   □ あ.不必要なものを切り捨てる
   □ い.惜しいと思うものを手放す


解答
1.い.舌先三寸 (舌の先の三寸だけで物事を運ぶということから出た言葉。「舌先三寸で人をだます」といった使い方をする。「口先三寸」と答えた人が、56.7%も。)
2.あ.食指が動く (「左氏伝(宣公四年)」の故事によるもので、鄭(てい)の公子宋が自分の食指(ひとさし指)の動きて御馳走にありつけると言ったことからできた言葉。「好条件に食指が動いた」といった使い方をする。「食指をそそられる」と答えた人が、31.4%。)
3.い.のべつまくなし (延べつ幕なしと書き、幕をひかず休みなしに演じ続けるという舞台の言葉から出たもの。「のべつまくなしに話す」といった使い方をする。「のべつひまなし」と答えた人が、42.8%。)
4.あ.こらえ切れず吹き出して笑う (失笑のときの「失」は、「うっかり」の意味。あきれて冷笑するという意味で使ってしまう人が多い。「笑いも出ないくらいあきれる」と答えた人が、60.4%も。)
5.い.惜しいと思うものを手放す (割愛とは、愛着を捨てる、煩悩を捨てるという意味。「時間の都合上仕方なく」といった時に使うが、単なる省略のときにも使いがち。「不必要なものを切り捨てる」と答えた人が、65.1%も。)



漢字 をきっかけに国語力全体を伸ばしてほしい
 文化庁の「国語に関する世論調査」で、漢字を正確に書く力が確実に衰えたと感じている人が66.5%に上ったことがわかりました。これは、10年前の平成13年と比べると25.2ポイントも増えた結果となりました。その大きな理由として、パソコンや携帯電話を使う機会が増え、手書きをすることがほとんどなくなったことがあげられます。
書けなくなったことに対して、普段はそれほど不自由を感じることはありませんが、何かのタイミングで、「恥ずかしい、これはまずい」と思って勉強をしなおそうと試みる人も多いようです。そんな時に、目標がはっきりしているからと漢字の検定合格に向けて学習を始める場合があります。しかし、もともと漢字に対して苦手意識がある人にとっては、覚える量が膨大すぎるためどこから勉強すればいいのかわからず、いやになってしまい、子どもの時と同じように、再び漢字に対する拒否反応を起こすことになりかねません。
 子どもの時の学習のしかたを思い出してください。ひたすら書き取りドリルをして、先生に採点してもらって、間違ったところを復習するという方法でした。これは今からやりなおそうとする大人には、あまりにも非効率です。
 本講座は、漢字を書けるようになりたい、その必要性は感じているものの、一つ一つ覚えていくのは面倒だ、と思っている方が、楽しく近道で学習できるよう工夫 ―― 漢字をグルーピングして覚えやすく忘れにくい構成にし、ことわざや漢字にまつわる面白い話を盛り込む ―― をしています。
漢字を好きになり、熟語や慣用句、ことわざなどのことばにも興味を広げて語彙力を増やし、国語力全体を伸ばしていってほしいと願っています。


*文化庁の「国語に関する世論調査」とは、文化庁が平成7年度から毎年実施しているもので、日本人の国語に関する意識や理解の現状について調査し、国語施策の立案に役立てているもの。
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