メイク。それは女性にとって特権でもあり、
社会に出ると最低限の身だしなみとして求められるものでもあります。メイクも言葉遣いや服装と同じように、TPOにあわせて変えたほうがいいのはわかっていても、ほとんどの人が毎日同じ自己流メイクで、もう何年も同じ方法を続けているというのが現実。
自分の顔をきちんと知って、理論に基づいたテクニックで少しやり方を工夫すれば、だれでももっと自分のなりたいイメージや求められる印象を作ることが出来ます。

そんな働く女性の印象づくりや演出、美に関するテクニックを理論的にきちんと学べる、それが本講座「パーソナルメイク講座」です。
今回の著者である横山恵子さんに、オリジナルのメイク法を生み出された経緯や働く女性のメイクについて感じることについてお話を伺いました。

メイクサロンM A M E W
代表:横山恵子
大手化粧品メーカーでの販売、開発を経てブライダルのヘアメイクアーティストとして多くの一般女性のメイクを担当。25 年間で1 万人以上の女性のメイクをしたキャリアの中で、骨格・筋肉のつき方に合ったメイクをすれば誰でも変身できる、オリジナルのメイク理論「骨筋メイク」を開発。代官山、新宿などにオープンしたパーソナルメイクサロン「MAMEW」はクチコミで人気が広がり、TV・雑誌でも多数紹介。
― 横山さんがメイクに携わるようになったきっかけを教えてください。

 もともと化粧品会社に美容部員として勤めていました。その後、夫の転勤で香川県に行くことになって、ブライダルの会社で働くことになり、その式場の中の美容院で、メイク担当として入ったんです。そこでやっていくなかで、メイクのクレームというのがものすごく多いことに気づいてしまって…。結婚式ですから、普段とは違うメイクをしますよね。ただ、そのおかげで「個性が消された」「自分のイメージと違った」、「ひと昔前のメイクのような感じがする古い顔になった」といったクレームがたくさんあったんです。そこでは、一人ひとりの顔や個性、それぞれのドレスに合ったメイクというよりは、“ 花嫁さんにはこういうメイク”というように、誰に対しても同じようなメイクをしていたんでしょうね。そういう状況を見ていて、その人にあったメイクはどんなものかというものをより考えるようになったんです。
美容部員の頃、もちろん自社の商品を売るためにいろいろお客様に説明はしていたのですが、段々と自社だけの限られたものを売ることに違和感を覚えるようになっていたんです。お客様からしたら、自分に合うものが欲しいのであって、それは必ずしも私の会社が扱っているものだけではない。その頃から、「メイクはその人に合うものが必要なんだ」という意識が根底にあったのだと思います。


― 確かに、自分の一生に一度の晴れ舞台で、本来であれば一番きれいな姿であるべきときにメイクで台無しにされてしまったらショックですね。

 そうなんです。、例えば白いドレスならこう、ピンクのドレスならこうといったように、メイクはドレスによって色の映り方がかわってきますしね。そのドレスやスタイルにあったメイクで仕上げていかなければなりませんよね。ただ、だからこそメイクは面白いと思うようになったんです。それで、個性やTPOを考えたメイクを一から勉強しました。写真用のメイクも研究したりして・・・。「写真の前撮りって、今は当たり前ですけれど、その当時はそんなにあるものではなかったんです。ですから、前撮りのロケ現場で撮っているときはとてもよかったのに、実際写真になってあがってきたら全然色が乗っていないとか、そういうことも結構あったんですよ。どんなに撮影の時にはいいメイクでも、写真には写真で映えるメイクというのがあるので、また変わってしまいますからね。右から撮られる時、左から撮られるときでも変わってきます。だから本来であれば、写真用は写真用、さらに撮られ方でも変わりますし、結婚式当日にはまた別のメイクをするんです。。


― だから前撮りというシステムが必要なんですね。いま初めて知りました(笑)

 実はもともと、私自身はそんなにメイクが好きというわけではなかったんですけれど(笑)、やっぱりそういう経験をしていくうちにメイクの奥深さを知っていくというのがとっても楽しかったし、何よりもお嫁さんが喜んでくれている姿や、感謝の言葉をかけてくれるのがとっても嬉しかったですね。


― そういったことが下地としてあって、メイクの専門の道へと入られたわけですね。実際のメイクについてのお話なのですが、横山さんは「骨筋メイク」という非常にユニークなメイク法をされてらっしゃいますよね。この「骨筋メイク」とはどんなものなのか、教えていただけますか?

 私がお伝えしているのは、一人ひとりの骨格や筋肉にそった、その人本来の美しさを引き出すメイク法なんです。メイクの基本理論や黄金比、骨や筋肉のバランスや動きに沿って生み出したオリジナルの「骨筋メイク」メソッドで、指導をさせていただいています。もちろん、人の顔はつくりやパーツひとつでもひとり一人でまったく違いますし、生活習慣や癖などでも筋肉のつき方の左右バランスは変わってきますから、右と左でもきれいにみえるメイクの仕方は変わってくるんですよ。


― 初めて聞いたときは、こんな方法があるんだ!ととても驚きでした。どういった経緯でこの方法を生み出されたのですか?

 かなりインパクトがあるかもしれませんね(笑)。しばらくブライダルにいたのですが、ちょうど夫が東京のほうで美容部員養成学校をはじめるということになって、そのタイミングで東京に戻って美容学校の講師をするようになったんです。「骨筋メイク」のきっかけになったのはその美容学校で講師をしているころに、『生徒にどうしたら楽しく、わかりやすく伝わるか』と考えたところからなんです。
教科書だけで基本を教えているだけでは生徒たちはどうしてもつまらなくなってきてしまうようで…何か動きがあるもの、楽しんでできるもの、特徴やインパクトのあるものではないとだめだと思いました。そこからですね。ブライダルにいたときも、「骨筋メイク」のベースとなるものはしていたのですが、そこまで個別に一人ひとりに合ったものという訳ではありませんでした。人の顔って観察すればするほど違いが見えて、とっても面白いんです。だから、もっと一人ひとりに当てはまるものが必要じゃないかと思っていました。人の顔の違いは何から生まれるかと考えたときに、パーツだけでなく骨と筋肉の作りが大きいんですよね。そこから自分で筋肉の動きや骨の形などをいろいろと勉強をして、今の「骨筋メイク」が生まれました。きっともともといろいろなことを調べてやってみるのが好きなんだと思います。



― 最近、特に働く女性のメイクを見ていて、なにか感じることはありますか?

 そうですね。正直に言ってしまうと、自分のことをなおざりにしていてもったいないと思ってしまうことがあります。もちろん、意識が高くてメイクもスタイルもビシっとキレイにしている人もいるのですが、多くの人はもう少し意識したらいいのになぁと。みんな「もっと自分がきれいになれる」ということを知らなすぎるんじゃないかなと思います。
そもそも、私はメイクって女性に与えられた特権だと思うんです。せっかくのその特権を活かさないのももったいないことですよね。面倒だと思ってしまう気持ちや、ずっと同じメイクのほうがラクなのもわかるのですが、ただ仕事においては、メイクってマナーでもあるし礼儀でもあると思うんでます。企業自体もそうですよね。その企業全体をみてイメージが決まります。人もそうで、仕事においての信頼や仕事ができそうだとかその人の雰囲気やイメージでなんとなく決めていることが多いと思うんです。だから本来は、そこを適当にしてしまってはいけないんですよね。


― 女性としてはちょっと耳が痛い気もします。

 なにより、私は女性のみなさんに「自分を見つめて、自身のことをもっと知ってもらいたい」と思っています。自分は丸顔だと思い込んでいても実はちゃんと分析してみると面長だったり…。アイシャドーが映えない目だと思っていても実はただ塗り方の問題だけだったり、悩みを隠すために塗っているけれど、塗る位置や色の選び方が違っていて逆効果になってしまったり・・・。自分を客観的にしっかり見つめてみると、本当はもっといいところがあって、そこを活かすことができるということに気づいて欲しいです。みなさん素肌はとっても大事にするので、同じくらいメイクの方法についても気を配って重要視して欲しいですね。テクニックを身につければ必ずキレイになりますから、軽んじてほしくないですね。


― ただ、ファッション誌などでもたくさんの 特集も組まれていますし、情報もあふれていて、みなさん知っているようにも思います。

 確かに、昔に比べれば、今は雑誌からでもネットからでも、情報はたくさん得られますね。ただ、知識はたくさんあるっても、自分に当てはめられているかというとそこがなかなか難しいんです。雑誌などでは「一般的にはこういうもの」としか伝えられないところがあるので、いざ自分にはどうかというと、当てはまらないことも多いですし、やってみても思い通りにいかないということもよくあるのではないでしょうか? そこを、私は一人ひとりこういう顔の作りの人であればこうする、こういう印象を作りたいときに、こういう目の人はこうしましょう、といったように、その人にあったアドバイスができるような理論をお伝えしているんです。その当てはめ方さえわかれば、もっとキレイになるんですよ。


― 一般的に、メイクというと「個人の趣向」、あくまでも仕事とは関係のないファッション的な位置づけだと思う人も多いかもしれないのですが、今回はそれをあえて企業教育というとこからアプローチしようとしています。ビジネスメイクで大切なこととはどんなことだと思いますか?

 働くみなさんの美に対する意識を高めるというのは、印象管理のひとつですし、会社にとっても責任があることではないかと思います。身だしなみですから、マナーや礼儀と同じように、「きちんと教育をするもの」だとも思っているんです。特に、きちんとした職種、接客業や銀行や窓口の方などは、高級感や安心感、上品なイメージを与えることはとても重要ですよね。メイクや身だしなみがきちんとしていないと、「本当にこの人で大丈夫かな。そのあとのフォローやアフターサービスも雑なんじゃないかな」と思ってしまいますよね。単なるメイクであっても、それだけでその人柄や性格、仕事の仕方までイメージしてしまうものなんです。


― その職業やイメージにあった、戦略的なメイクというのも必要ですね。

 そうなんですよね。メイクは、多くの場合個人任せになっていて、努力してもあまり会社に認められるというところではないと思います。だから、あまり力を入れなくなってしまう人も多いと思うんです。ですが、TPOやその職業で求められる役割に合わせて、戦略的にメイクしたほうがいいですよね。たとえば、キャビンアテンダントという職業は、きちんとした身だしなみやメイクをして振る舞っていることで、とても品があり、頼りがいのある人に見えます。同じように、OLさんにはOLさんの、看護師さんには看護師さんの役割に合ったメイクがあって然るべきです。企業はお客様や周りの人からの印象が大切ですから、意識して身だしなみや立ち居振る舞いを美しくしていかなければなりませんよね。


―たしかに、メイクをきちんとしている会社や職業には品格の高さが感じられますし、そうした見た目ひとつで、職業の与える印象は大きいですよね。

 女の人がキレイでいようとする企業は、そこにいる女性は当然同じような意識を持るようになるので、みんなキレイになっていきます。ですから、まず最初に企業教育として取り入れて欲しいことですね。
近頃は、メイクについてどうこう言ったら「セクハラ」といったことにもなりかねませんよね。ただそれって、正しいメイクがどういうものか企業側がわからないから、相手に何も言えないし、言ったら個人的な感情によるセクハラなどと言われてしまうのではないでしょうか。色の使い方やメイクによって与える印象など、最低限のメイクの理論はマナーとして学んでもらった方がいいと思っています。特に、男性にも知っていてもらいたいこともありますからね。職場の男性の女性に対する関心の有無は、その職場の女性の美しさにも関わってくるのではないかと思っています(笑)。


― 特にメイクはおかしいからといってなかなか本人には言いにくいですもんね。 

 私は結婚相談所でもメイクの講習をしているんですが、40〜50代の女性方のご縁がなかなか結ばれないのですが、そういう方たちって見た目というか、メイクの部分で損をしているなと感じることも多いんです。古いメイクの方法だったり、年齢に合っていないメイクをしていたりして…。ただ、それを相談所の方から、「そのメイクを変えた方がいいですよ、変ですよ」とはなかなか言いにくい。そういったところでも、私が講習でアドバイスさせていただいています。実際、メイクも含めたトータルコーディネートでずいぶん変わりますからね。


― それに、メイクはビジネスマナーなどと違って、きちんと誰かが位置から教えてくれたり本格的に習うということもあまりなくて、ほとんどが自己流で始めて、そのまま何年も経っていてなんとなくでもそれでいいかもと思っている人も多いように思いますね。

 自己流でもいいのですが、そこで満足して何年もやり方を変えないというのではだめではないかなと思うんです。自己流でやっていると、「自分はまだ若い」とか「学生時代と同じメイクでもまだイケる」といった主観的な判断だけになってしまって、『自分の変化』を認められてないことってありますよね。そうなると、客観的に見るとおかしいメイクになってしまうんです。学生の頃とは役割も立場も違うので、そこは大人としてきちんと違うメイクにして欲しいですし、年齢が上がって老けたりお肌に悩みが増えてきたりするのも仕方のないことなので、それはそれでいいんです。その年齢やその人なりの顔、肌質や体質にあったメイクというのがありますから、まず今の自分の現実を知って諦める。以前と違ったとしてもその自分の変化を認めて好きになるべきなんです。


― 今回の通信講座ではどんなことを身につけてもらいたいですか?

 私のメイクサロンでは、まさにメイクの土台・基本となる部分を教えています。メイク学校に入ると、まず最初に習うことなんです。自転車の乗り方を教えて、まず乗れるようになるといったイメージですかね。プロの場合だと、その先は感性によるところも大きいので…。基本的なところをしっかりと身につけてもらって、そのうえで応用していろいろな演出を楽しんでもらいたいと思っています。今回の講座も、その基本理論をしっかりとマスターしていただいて、自分に合わせた応用を学んでもらえるようになっています。一人ひとりにあった添削でアドバイスをしますので、ぜひ参考にしてもらいたいです。
レッスンに来る女性を見ていても、会社のストレスが顔に出てしまっていて残念なぁと思うことがあります。会社の中で明るくいられれば、みんなが明るくいられます。特に、女性は体調的な変化も顕著に顔に出ますからね。忙しかったりすると、ついメイクは二の次になってしまいますが、ちゃんと顔のリンパを流してケアしたり、メイクをきちんとすればキレイになります。楽しく会社で仕事ができるように、せめてメイクだけでも楽しんでやってもらいたいですよね。
 女性は誰でも、いくつになってもキレイになりたいと思うものですし、何かそのためのきっかけが欲しいと思っているのではないかなと思います。ですからそういう方たちにとって、今回の通信教育がお助け的な役割となって、その一歩を踏み出してもらえればいいなと思います。女性がキレイになって心も明るくなれば、職場も明るくなって、仕事もはかどるのではないでしょうか。


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