――昨今、コーチングブームのようなものがありますが、本当のコーチの方からそうしたブームみたいなものを見て、なにか感じられることはありますか?
学生にはね、「成果を出しているコーチの言うことは聞きなさい」と言います。それだけです。成果があるかどうかじゃないですかね。だから、コーチングに関しても成果を見なきゃいけないでしょう。営業マンだったら、どのくらいお金を稼がせたのか。そこからスタートですよね。営業マンがきて「すいません、私は売上げを50%上げたいんですけど」って言って、それに対してコーチングができたかどうかっていう評価がなければいけない。それをやっていないのなら、ちょっと言い方は乱暴ですけど、コーチって誰だってなれるんですよ。草野球のコーチから、子どもの野球から。そこに成果を求められなかったらやれるんですよ。だけど、そこにはやっぱり、成果というのが必要なんです。

川本   和久 (かわもと かずひさ)

◇1957年生まれ佐賀県伊万里市出身
筑波大学卒業後、同大大学院でコーチ学を専攻
日本陸上競技連盟強化委員会女子短距離部長
主たる研究:陸上競技・どうしたら速く走れるか?
どうしたら遠く跳べるか?・トレーニング構成論

◇主な経歴
高 校時代より陸上競技をはじめ筑波大学へ入学、陸上選手として活躍する。その後、同大学大学院でコーチ学を専攻し、小学校講師などを経て福島大学教育学部に 助手として勤務。同時に陸上部監督となった。20代のときに、当時は無名校であった福島大学を東北総合優勝に導く。30代で日本記録保持者を生み、以後大学陸上界の名コーチとして、丹野麻美(400m日本記録保持者)、吉田真希子(400mハードル日本記録保持者)など、多くのトップ選手を育てている。
「コーチに向いているのは、人を見ることが好きで、違いを見つけられる人」
――コーチに向いている人と、向いていない人というのはあるんですか?
人を見るのを好きな人。観察するのが好き。根っから人が好き、かな。好きで、おせっかい焼きなのかな。「なんとかしてあげたい」っていうか。
もう一つは使命感に燃えているってこと。あと、観察眼ですよね。それはトレーニングで身につくものだと思います。「観察しよう」「違いはなんなんだ」と、本質的な違いを見抜こう見抜こうっていう思いさえあればいけると思います。そういう意味では、コーチは後天的な部分が大きいと思います。

株式会社アイ・イーシー 東京都千代田区飯田橋4-4-15
All Rights Reserved by IEC