益友

交際することによって、有益な結果がえられるような友人を「益友」といいます。
 仕事上だけでなく、趣味のことや人生の語らいにもそれぞれの分野で益友を見出すことが必要です。

  出所は「晏子春秋」その原文は「聖賢の君、皆益友を有す」つまり「聖者、賢人のような立派な人々にはそれぞれ自分の囲りに折にふれ有益な友人が集まるようになっている」となっています。
 春秋の故事をさらにご紹介しましょう。斉の国王である景公は、名宰相といわれる晏嬰(晏子)を重用して、国事に成功した人です。あるタベに、晏嬰を訪ねて「うまい酒を酌み交わして、いい音楽を聴いて楽しみませんか」と誘いました。しかしあっさり断られてしまいました。そこで、武将とし有名な司馬穣苴を訪ねて誘いましたが、「私には関わりのないことですね」と断られたのでした。そこで大夫の梁丘拠の家へ行ったところ、既にその話が、彼の耳に届いており、景公の誘いに応じるべく、楽器をかかえ歌いながら門のところまで迎え出ていました。

 景公が喜んだのは勿論で、「宰相と将軍がいなければ国を治めることはできない。しかし、君のような臣がいないと楽しむことができない」と述懐したとのことです。

 この故事で教えられることは、人生を豊かにするために友人が必要なことはもちろんですが、その時々に、適当な人材を周囲におくことが肝要であるというものです。
 友人を集めるにしても、仕事の面で役立つ友人、学術研究でプラスの多い友人、さらには趣味をおなじくしたり、人生を楽しむための遊び友達というように、いく種類もの友人が必要なことがわかります。
 好みや性格など同じような人とグループをつくったり、安易に流れていては、「益友」ならぬ「悪友」ばかりと交際することになります。悪友のなかには、ギャンブルや賭博などのいわゆる悪の道につながるような質のよくない人種も考えられ、「朱に交われば赤くなる」などのことわざにもあるように、このような人との交流は、人生を豊かにするどころか、破滅に導くようなことさえおこりかねません。
 つまり、交友にかたよりのないことが大切であると同時に、自らの人生に役立つような「益友」を選ばなければならないということでしょう。

 この項では、「人生を豊かなものにする」ための交友を考えてみましたが、友人のなかに、信頼ができて、イザというときに力となる友人、また人に裏切られたり逆境になっても支援をおしまず、離反しない友人を生渡の友としてほしいものです。
 中国の故事のなかには「莫逆の友」「刎頚の交わり」など生涯の親友に関するものが多く、自らの人生を支えてくれる友人がいかに大切かを教えています。
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