第22回:いろんな人がいるから磨かれる、コメディアンのジョシュ
日本のお笑いブームに完全に取り残されています。お笑いブームに限らず、移り変わりの速い日本の流行にはことごとく取り残されています。厚底ブーツや、「おっはー!」が、僕が知っている最後の流行です。ずいぶん取り残されました。

新聞の記事などを読んでいると日本のお笑いブームはずいぶん大きいようですが、ブームは日本に限らないようです。ロンドンでもお笑いは熱いのです。BBC(日本で言えばNHKです)からだされているリトル・ブリテンというコメディは空前の大ヒットです。日本では到底放送できないような過激な内容ですが、大人気です。

漫才や漫談はいろいろなところで見られます。日本のお笑いとは違って、2人での漫才ではなく、スタンドアップと言われる1人での漫談が多いようです。今月は、たまたま友達になった、ロンドンでコメディアンを目指すオーストラリア人のジョシュに話を聞いてみました。

清水: ジョシュはオーストラリアから来たんだよね。ロンドンにはいつ来たの?

ジョシュ: 去年、オーストラリアからロンドンに。コメディアンになるためにね。今は、フィットネトレーナーをしながら、週に3回ぐらいスタンドアップ(漫談)をやってる。

清水: なんでロンドンに来たの?オーストラリアでもコメディアンは目指せるんじゃない?

ジョシュ: やっぱり、刺激。まず、オーストラリアの若い人たちはみんなロンドンに行きたがるし、実際行ってる。ニューヨークよりもロンドン。ビザも取りやすいからね。ニューヨークよりも。大英帝国だからね。
 それに、ロンドンは、コメディアンもたくさんいるし、オーディアンスも多い。競争も多い。しかも、いろんな国から「コメディアンになってやる!」っていう人が来るから、競争は大変。でも、競争がないと磨かれないから。そこでがんばってやっていれば、自然とレベルは上がるよね。

清水: だよね。オーストラリアとロンドンではコメディは違うの?

ジョシュ: んー。ユーモアのセンス自体はだいたい同じ。でも、ロンドンはオーストラリアよりもいろんな人がいるから大変。笑わせるのが。ほんと大変なの。
 観客のバックグラウンドが同じだとやりやすいんだよね。笑いのポイントも同じだから。でも、ロンドンにはいろんな人がいる。人種も、国籍も、宗教も違う。ストレートもいれば、ゲイもレズビアンも普通。太ってるヒトもやせてるヒトもいるし、ベジタリアンもいる。バックグラウンドが違えば、笑いのつぼも違うんだよね。


清水: 確かに。どうしても、みんなを笑わせようとすると、いろんな人がいると大変だよね。

ジョシュ: でもそこが磨かれるポイントなんだよね。コメディアンはやっぱり多くの人を笑わせたい。多くの人を笑わせた方が勝ちだよね。でも、多くの人が笑うポイントはそんなに多くないんだよね。しかも、そのポイントは多くのコメディアンが手を変え、品を変え狙ってるんだよね。それを狙っていかないと、メジャーにはならないから。だから、いろんな人がいるロンドンでの競争は激しいんだよね。

清水: やっぱり多様性の中での競争はミソだよね。コメディに限らず、音楽でも映画でも新しいものがでてくるのはやっぱりいろんな人がいるところだだよね。ニューヨークとかハリウッドとか、ミラノとかパリもそうだよね。ところでジョシュは日本に行ったことあるんだよね?

ジョシュ: そうそう。日本語もちょっとだけ分かる。広島にいたんだけど、たまに「あ、ハゲ外人だ!」なんて言われてね。「あ、そう?」なんていったら、「ゴメンゴメン」とか言われたよ。広島はね、多様性は少ない街なんだけど、食べ物はおいしいの。お好み焼き大好き。

清水: ロンドンは、多様性はすごく高いけど、食べ物はおいしくないよね。街の多様性が高くなると、食事がまずくなるのかね。

ジョシュ: 日本が移民を受け入れだしたら、スシもフライドポテトがついてくるようになるよ。絶対。


 ジョシュの夢は自分の番組を持つことだそうです。この前、彼のコメディを見に言ってきました。コメディの英語は難しいけど、なかなか面白かったですよ。いろいろな夢を持った人が集まるところは良いですよ。
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