毎月15日発行

14回:配偶者をほっといてよいのか?

 ハロウィンも終わり、冬が近づいてきています。日が暮れるのは早く、北風が吹き始めています。今月は、アメリカにおける学生の結婚について書きたいと思います。アメリカの大学院には結婚している学生がかなりいます。これは修士課程、博士課程を問いません。僕の所属している部門では3分の1くらいの学生が結婚しています。僕も今年に結婚したばかりです。もちろん、日本の大学院でも結婚している学生はいます。ただ、アメリカと日本の大学での結婚について考えてみると、大きな違いが見えてきます。日本では学生の配偶者は「ほっとかれている」のです。

アメリカに来て様々な違いに驚かされましたが、そのなかの一つに夫婦で行くことのできるアクティビティの多さがありました。例えば、デパートメントのパーティーには、パートナーを連れて行きます。授業の打ち上げで先生の家に招かれる時も一緒です。この夏にボストンで開かれた学会のレセプションにも夫婦できている人が多くいました。パーティーなどのイベントの招待状には必ず、Spouse and Significant Others are Welcomedと書かれているのです。つまり、恋人を連れていても良いのです(もしかしたら、配偶者と恋人をいっぺんに連れて行っても良いのかもしれません)。パーティーのホストはゲストにリラックスしてもらいたいと考えています。リラックスするためには家族や恋人などと一緒に来てもらうのが良いというわけです。



これは日本ではなかなかありません。学会のレセプション・パーティーに夫婦でいくということは考えられません。日本では、学会のレセプションも、学部のパーティーも、授業の打ち上げにも夫婦で参加ということはまずありません(夫婦で出席するとリラックスできないからかもしれませんが)。日本の大学院では、配偶者は完全に蚊帳の外、「ほっとかれた」存在なのです。

また、僕は、今学期、大学で主催されているテニスのリーグに参加しています。これは学生、卒業生などがチームを作って週一回団体戦を行うものです。ここには、夫婦で参加している学生が少なくありません。夫婦でミックス・ダブルスなどに出ているのです。夫婦単位で大学のイベントに参加することはとても自然なこととなっています。日本の大学には、夫婦単位で参加するイベントはほとんどありません。文化祭を一緒に見に行くのがせいぜいです。

さらに、学生の配偶者に対するサポートもあります。例えば、留学生の配偶者を対象とした英会話やアメリカの文化に慣れるためのプログラムが大学によって用意されています。友達作りのためのイベントも数多く提供されています。さらに、地域のコミュニティにもボランティアによる英語のプログラムがあります。留学生のパートナーは、不慣れな環境に戸惑うことも多いはずです。英語も問題になるかもしれません。ただ、それらをサポートするシステムは用意されているのです。結婚している留学生とそのパートナーが気持ちよく暮らせるように考えられています。

日本の大学院にはこのようなプログラムはありませんでした。結婚しているのなら、「勝手に生活してください」と言わんばかりです。大学からはかなり「ほっとかれた」存在になってしまっています。

日本の大学はいま、ビジネス・スクールやロー・スクールなどの大学院を立ち上げています。いったん社会に出た人が、ギア・チェンジのために大学に戻ってこられるような土壌を作っているのです。また、ビジネス・スクールなどにおいて国際競争力をつけるためには、様々な国から優秀な留学生を受けいれていく必要もあります。どのようなプログラムを組み、どのような教育を施していくかという目に見えやすい問題を考えると同時に、学生のパートナーに対してどのように接していくのかも見過ごしてはいけない問題です。アメリカの大学は、配偶者をほうってはおきません。ほうっておかない土壌がすでにできているのです。留学生の配偶者としてアメリカに来るのも悪くありませんよ。




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