◆盲流とは?

「駅は人生の縮図」という言葉がありますが、中国経済を牽引する広東省の玄関口・広州駅は、その象徴といえるでしょう。

全国各地からの長距離列車が到着するや、大荷物を背負ったおびただしい数の人々が一斉に改札口へと殺到。すると、駅に集まった宿屋やバスの客引き、ダフ屋などが声をからしながら彼らを取り囲み、混乱のなかにもポジティブな「生のパワー」をみなぎらせています。が、すぐ隣りの駅前広場に目をやると、今度は対照的にネガティブな「負のパワー」を感じずにはいられません。広場を埋め尽くす人、人、人――。虚ろな表情で座り込んでいる彼らは、路上生活者のように無為の時間に身を委ねています。

これらの人々は、前者は求職者、後者は失業者という違いこそあれ、実は同じ「盲流」(やみくもに流れ出てくる、という意)と呼ばれる農村からの出稼ぎ労働者なのです。

ケ小平の号令のもとスタートした改革開放政策は、中国経済に飛躍的な成長をもたらした一方で、内陸農村部と広州、上海、北京など沿海部との埋め難い収入格差という新たな歪みを生み出しました。

所得バランスの目安となる「ジニ係数」も、国際的なデッドラインに近付いているとされています。これまで政府は、農村部から都市部への自由な移動を制限する、厳格な戸籍制度を続けてきました。

しかし、こうした深刻な収入格差は農村人口の都市流入を促し、「盲流」人口を爆発的に増加させたのです。貧富差が存在する限り、農村→都市という一方的かつ永続的な流れも途絶えることはあり得ません。

ただ、日本における外国人労働者と同様に彼らが3K職場の貴重な戦力となっている半面、職にあぶれる出稼ぎ者も増えており、今後は戸籍制度の緩和と人口移動の規制という矛盾するテーマの整合が課題となるでしょう。

ちなみに、最近は差別的ニュアンスを含む「盲流」という表現に替わり、「民工」(人民労働者)との呼称が一般的になっているようです。

弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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