◆著作権の効力と侵害とは?

 著作権法では、一定の範囲で一般大衆の著作物の自由利用を認めています。それは、公共の福祉のための著作権の効力制限といっていいでしょう。
 では、具体的にはどんなケースにおいて、自由利用ができるのでしょうか。
 たとえば、私的利用のための複製です。個人的に、あるいは家庭内やこれに準ずる小グループなどの範囲内で使用することを目的とする場合に限り、原則として著作物を自由に複製することができるのです。
 これは私的な範囲内であれば、著作者の利益を侵害することはないという考えに基づくものです。
 自分で購入したCDをカセットテープに複製して楽しむことなど問題はないわけです。
 このほか、図書館等による複製、一定の要件のもとで自己の著作物の中に他人の著作物を挿入して利用する「引用・転載」なども、自由利用が認められています。
 こうした範囲を越えて、著作者に無断で複製を行ったり、他人の著作物として発表したり、著作者に無断で公表したり、著作者の意に反して著作物に変更を加えたり、といったことが著作権の侵害にあたるわけです。
 ただし、1992年の法改正により、たとえ私的使用目的であってもデジタル録音・録画の場合は、無償での複製が認められなくなりました。デジタルコピーの場合、ほとんどオリジナルから品質が劣化しないためです。
 複製を無償で認める根拠は希薄になったとして、利用者がこうしたデジタル機器やメディアの購入時に(それとは知らず価格に上乗せして支払う形で)補償金を支払うシステムが導入されたのです。
 著作権者は権利侵害に対して、差し止め請求や名誉回復等の措置請求が認められているほか、損害賠償請求、不当利益返還請求も可能です。刑事罰としては3年以下の懲役または100万円以下の罰金が定められています。


弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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