各界の一言居士のみなさんに、日本を、企業を、そして我々ビジネスマンを“よく”するために、
“最近アタマにきていること”を、リレーで綴っていただくコーナーです。
◇第4回のゲストはアカデミー キャピタル インベストメンツ代表取締役松本孝利氏

(まつもと たかとし)
1941年北海道札幌市生まれ。日本サン・マイクロシステムズ、システム・ソフトウェア・アソシエイツ、日本シスコシステムズの社長歴任後、シスコシステムズ代表取締役会長に就任。2001年4月アカデミー キャピタル インベストメンツ株式会社を設立、社長に就任。
財団法人インターネット協会 評議員。株式会社スクール・オン・インターネット研究所 取締役。株式会社スクウェア社外取締役。日本銀行 政策委員会室 顧問 (〜2001年9月)。慶應義塾大学政策・メディア研究科教授(〜2002年9月)。法政大学名誉博士。
私は東京郊外の3-40年ぐらい前に分譲された、道路が狭く坂の多い住宅地に住んでいる。
 普段は到着時間の予測が可能な電車を使うが、時間に余裕がある時には車を運転する。

 先日も車で家を出て狭い坂道を降り交差点を右折しようとした瞬間、下から左折して私の道路に入ろうとしている車に出くわし慌ててブレーキを踏んだ。私のいる道路は大変狭く道幅が4メートル弱で、相手のいる道路は道幅が6メートル位あり、少し後退してくれればお互いに交差可能であった。過去何年も似たような嫌な経験をしている私は咄嗟に相手を見た。残念ながら今回も40代後半の主婦で恐らくご主人を駅まで送った帰りであろう。
 暫く相手の反応を見たが、動く気配が無い。

 気の弱い私は仕方なく車を約20メートル程苦労して後退させ、元の道に戻り僅かの期待と共に相手の車を待った。無い、やはり今回も無いのである。彼女は何事も無かったように私を無視して真っ直ぐ前を向きスッと横を通り過ぎて行ったのである。

 過去何度も期待を裏切られてきた私は驚きもしないが、せめて頭を軽く下げる位の感謝の気持ちが欲しかった。実は過去3年間このような嫌な経験の数を数えてきたがこの時で19回目、その内14回は今回と同じであった。運転だけで精一杯と言うこともあるだろうが、挨拶なしは圧倒的に50代前後の女性に多い。若者達のマナーの悪さが取り沙汰される昨今、私にはこのような親世代に原因があるように思えてならない。
 アメリカに行く機会の多い私は、つい日本のそれと比較してしまうが、少なくても挨拶に関しては彼等の方が上で大変気持ちが良い。

 21世紀を迎え国際化が加速する時代、国際人を育てる第一歩は挨拶教育から始めなくてはならないようで日本の前途が思いやられる。


back next
東京都千代田区飯田橋4-4-15 Tel:03-3263-4474  Copyright (C) 2012 IEC. All Rights Reserved