各界の一言居士のみなさんに、日本を、企業を、そして我々ビジネスマンを“よく”するために、
“最近アタマにきていること”を、リレーで綴っていただくコーナーです。
◇第6回のゲストは日本オラクル椛纒\取締役社長 新宅正明氏

(しんたく まさあき)
日本オラクル株式会社
代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)
米国オラクル・コーポレーション 上級副社長(SVP)
1954年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本アイ・ビー・エム株式会社入社。営業課長、金融機関営業統括本部取締役補佐、ソリューション統括本部取締役補佐を経て、1991年日本オラクル株式会社入社。営業部部長、常務取締役マーケティング本部長、常務取締役事業統括本部長などを経て2000年代表取締役社長最高執行責任者に就任。2001年1月から現職。
ドキドキ感が感じられない、国の財政は赤字で借金だらけ、子どもが大人と対峙しない、警察の検挙率は落ちっぱなし、何を拠り所にすればよいのか、わからなくなってきている。

 高度経済成長やバブルを経験している人は「いつかGDPが上がる」「売り上げが上がる」というこの呪縛から逃げられないでいる。時が解決すると言うには時間がかかりすぎている。昔の経済学者では打つ手がないのが現状である。
 また、国民と国までグローバル化を目指してグローバルスタンダードに合わせてきた。結果的に日本という国の特徴、「和の文化」まで喪失させてしまった。日本の高い教育レベル、紳士的、礼儀よさなど日本人の良いところを強みにできなかったということなのだろう。ひとり一人は魅力あるのに、国全体というと魅力がなくなってしまっている。
 そのうえ、日本の検挙率がこんなに低くなるということをだれが予測しただろうか? 住むのも食料も安全、将来も安心、という日本の国に対する希望がすべて打ち破られたといってもよい。

 では、この国はどうなるのか?
 あまり複雑に考えすぎずに、考え方を大きく転換して「単純化」してはどうだろうか・・・。

 単純化とは、「質を上げて魅力的な国を目指す」ということである。
 以前は、日本は国民、世界経済、外国人に対する求心力があった。もう一度、「あの国で勉強したい」「あの国で仕事したい」といわれる魅力のある国を目指そう。そのためには、日本ブランドを再構築する必要がある。

 今や物に対する欲求が持てなくなり、量的なものへの追究も終わった。安いからといって牛丼を3杯食べられるわけではないし、コーヒーは10杯も飲めない。服も家に入りきれなくなっている。日本ブランドを再構築するとき、今のまま量を追っていてはしんどくなるだけである。「質への追究」に変えるべきだ。安全の質、環境の質、福祉の質、技術の質、いろいろである。

 それにしても、今の日本には明治維新の頃のように「新しい近代国家をつくろう!やったるぞ!」と言う人がいない。明治維新には30代の若い志士たちが活躍した。大きな転換は30代40代でなければ変えられない。それには、30代40代を生かせるしくみにして、60代70代の人は聞く耳を持ってアドバイスする側にまわってほしい。

 ここで大きな転換を遂げて、次の若い世代が「日本人になってよかったなぁ」と思える日本にしなければならない。それには、一刻も早く閉塞感から日本を脱却させなくてはならない。


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