各界の一言居士のみなさんに、日本を、企業を、そして我々ビジネスマンを“よく”するために、
“最近アタマにきていること”を、リレーで綴っていただくコーナーです。
◇第8回のゲストは注目の建築家 大江匡氏

(おおえ ただす)
プランテック総合計画事務所
http://www.plantec.co.jp
1954年 大阪府出身 東京大学大学院工学建築研究科修了
主な作品として、京都の「細見美術館」、Ai-City、岐阜ソフトピアジャパンなど。「ファンハウス」で第12回日本建築家協会新人賞をはじめ受賞多数。
最近、ETCの機器を車に取り付けた。しかしながら、実際にそれで高速道路を走ってみると、憤慨すべき事実が数多くある。
 まずは、全ての料金所にETCが設置されるべきだが、それはまだほど遠い状況だ。さらに、頭にくるのは、ETCが設置されているにもかかわらず、一般の料金と混合されていることだ。国土交通省の方針としては、ETCを促進するということを明言している。それにもかかわらず、運用の面で、こうなっていることは許し難い事実である。

 全ての料金所において、ETC専用は確保すべきである。そうでなければ、誰もETCを積極的に使うことはないだろう。恐らく、こういった面は、現場に管理されているだろうが、明らかに本省の方針と違うことを現場がしているのであれば、それは是正すべき対象だろう。日本がデフレから脱するにはどうしたらいいのだろう。

 これまで、デフレはある潜在的に重要なツールが非常に便利になったときに起きている。産業革命の時には馬で運んでいたものが、蒸気機関車に代わり、それによってデフレが25年に渡って起きることとなった。馬の運送によって需給関係の成立した社会が、蒸気機関が基本的なツールとなり、それによって、馬のシステムが完全に消滅するまでは、デフレとなったのだ。

 現在では、それはITによって起こされていて、世界中の企業が、人は削減、時間を短縮、コスト削減をITによって起こすことになると、デフレが起きることは間違いない。ETCができることは、明らかに人がいらなくなり、時間が短縮されると言った、現在のITによるデフレの効果が明かな部分である。多分、ETC対応の料金所ができるごとに小さなデフレが起きているのだろう。しかし、それがいつインフレに逆転するかというと、全ての料金所がETCになった時である。

 日本がデフレを脱出するためにも、ETCをもっと促進する必要があるのだ。それを阻害する現場があるとすると、それは、かつての産業革命における馬のシステムと同じ、新しい世の中を阻害する要因なのだろう。


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