各界の一言居士のみなさんに、日本を、企業を、そして我々ビジネスマンを“よく”するために、
“最近アタマにきていること”を、リレーで綴っていただくコーナーです。
◇第13回のゲストは株式会社ディー・エヌ・エー
代表取締役社長 南場 智子(なんば ともこ) さん


(略歴)
1986年、マッキンゼー入社。
1990年、ハーバード大学にてMBA取得後、マッキンゼーに復職。
1996年、マッキンゼーパートナーに就任。インターネットや新しいメディアを活用した戦略、ビジネスモデルの企画立案に取り組む。
1999年、株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)を設立。
1999年、マッキンゼーを退職し、DeNA代表取締役に就任。
2003年2月、内閣IT戦略本部員 就任。

主な著書「ネットゲイン」(日本語版監修 1997年、日経BP社)
DeNAでは、2003年10月現在、会員数200万人、出品数95万品におよぶ日本最大級のオークション&ショッピングサイト「ビッダーズ」http://www.bidders.co.jp/ を運営するほか、不用品の買取見積り依頼をネット上から行なえるリサイクル総合情報サービス[おいくら] http://www.oikura.co.jp/ を運営。
私はいつも何かに怒っている。癖だと思う。たった今はアリの巣作りを観察するために採集した5匹のアリが全く働かず、巣もろくに掘らないうちに全滅したことに怒っている。同じ巣から採集するようにという注意書きを無視して自ら惨事を招いた自分にも腹が立つが、それにしてもふんだんに餌を与えたのにミーティングばかりして成果を出さなかった5匹は、アリ界の面汚しだと思う。次の実験が上手くいくことを願うばかりである。

 いつも違うことに憤慨しているが怒りは5分と続かない。だから「頭に来ていること」について書けと言われてもなかなか思い出せない。長続きしている怒りはしかし皆無ではない。たとえば近所のカラスだ。ごみの日に声をかけあってやって来るやつらを憎悪している。なぜかについてはここで改めて記すまでもない。

最近飼い始めた超美人で少し頭の弱い柴犬は、カラスの腹黒さに気づかずに毎度毎度追いかけてしまう。やめた方がよいと何度言っても分からない。バタバタと飛び上がって逃げるカラスは「おまえら飛べないんだろー」と言っているようにも見えるし、「なーに同じことやってんだよ」と言っているようにも見える。いずれにしても最後は「ばーか」で結ばれている気がする。しかも頑張れば届きそうに見えるけれども実は決して届かない高さのところを狙いすまして着地するところが耐え難い。石原都知事は確か選挙の時、カラス撲滅って言ってたよねー。都が銀行つくるとかそーゆうことより大事でしょ。ごみあさりのカラスひとつ撲滅できない都知事がなぜあんなに偉そうにしているのか。

 「頭に来ていること」を書かせるこういったリレーエッセイは危険だ。書いているうちにもっと頭に来て、単に撲滅したのでは腹の虫がおさまらない気分になって来た。いろいろ考えてみる。やつらを捕まえてGPSチップをくちばしに埋め込み背中に防犯カメラを背負わせるのはどうだろう。いやいやそんなことより、アタマにケータイのアンテナをつけてみてはどうだろう。そして背中に無線ルーターを背負わせて都市型IPケータイ電話。生ごみの日は特によくつながります、がキャッチフレーズの新サービスだ。アンテナの色と形状によってはかなり滑稽に仕上げることができる。見かけるたびに一瞥だけくれてやろう。そしてはんっ、と鼻で笑って電話しながら通り過ぎようじゃないの。


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