各界の一言居士のみなさんに、日本を、企業を、そして我々ビジネスマンを“よく”するために、
“最近アタマにきていること”を、リレーで綴っていただくコーナーです。
◇第17回のゲストはGMO(グローバルメディアオンライン株式会社)代表取締役 熊谷正寿(くまがい まさとし)氏です。

(略歴)
1963年 長野県に生まれ。1991年、株式会社ボイスメディア(現グローバルメディアオンライン株式会社)設立代表取締役就任、1999年、「独立系インターネットベンチャー」として国内初の株式店頭上場 (証券コード 9449)、2000年には連結子会社「まぐクリック」を設立から上場まで当時日本最短記録364日でナスダックジャパン(現ヘラクレス)に上場(証券コード4784)させる。日経ベンチャー「99年ベンチャーオブザイヤー」新規公開部門2位受賞、郵政省(現総務省)「次世代インターネット政策に関する研究会」委員、社団法人日本インターネットプロバイダ協会を設立、副会長に就任、湘南工科大学非常勤講師も兼任。現在、ブロードバンド時代の総合的なインフラ・サービスインフラを担う上場企業、GMO・グローバルメディアオンライン株式会社を中心とするGMOグループ総勢13社、約800名の従業員を率いる。
日本から牛丼が消えた。
年間数億食が消費される国民食が、食べられなくなったのである。
ニュースなどの論調は、「サラリーマンの財布の味方がまたひとつなくなった。」的な情緒的なものが多い。多くのマスコミがスポットを当てたのは「安い、早い、うまい」のなかで「安い」の部分だ。たしかに、280円の牛丼は信じられないほど安い商品である。

しかし、ビジネスマンでもっとも重要だったのは、「早い」の部分である。
席に着けば、数秒で並盛がでてくる。それを、一気にかっ食らえば数分で食事が完了する。
外回りのビジネスマンが、ふと席の空いた「吉牛」を見つけ入る。食べ終わり、店を出てまた次の仕事に行く。その無駄のない時間こそが緊張感あるビジネスシーンを作ってきた。
コンビニ弁当でも「選んで」「レジに並んで」「レンジであたため」「ラッピングをはずす」までに数分はかかる。

この遺失した時間こそが日本のコストの浪費であり、もっと危機感を感じるべきである。日本が、「安い、早い、うまい」の手段を失ったことは、その「安い、早い、うまい」のそれぞれの経済的恩恵を失ったことになる。
「一怒一老」という言葉があるが、まさに怒ることは、不幸を感じることで体にいいわけがない。それが、まして食べ物に向けられたときはその影響は絶大だろう。
どちらかというと、ポジティブシンキングの僕は、常に前向きに考える方だが、牛丼を食べられない事実が継続してつづくと、腹が減るとふとおもいだしてしまうのである。

それにしても、牛丼食べたい…


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