各界の一言居士のみなさんに、日本を、企業を、そして我々ビジネスマンを“よく”するために、
“最近アタマにきていること”を、リレーで綴っていただくコーナーです。
◇第21回のゲストは
株式会社WDI .
代表取締役社長兼 C.O.O. 清水 謙 (しみず けん)氏です。

(略歴)
1968年6月  誕生
1992年3月  慶応大学法学部卒業
1992年4月  さくら銀行(現三井住友銀行)入社
1998年4月  さくら銀行(現三井住友銀行)退社
1998年5月  当社 入社 取締役 就任
2000年10月 当社 常務取締役 経営企画室長 兼 営業本部長 兼 事業開発部長 就任
2003年4月  当社 代表取締役社長 兼 C.O.O. 就任
10年前は世界のグローバル都市と言えば、ニューヨーク・ロンドン・東京と言われていましたが、最近では東京に代わって上海と言う人が増えてきています。東京在住の外国人の方に聞きますと、東京は国際都市であるとは言い難い要素が多分にあるようです。確かに、世界第2位の経済大国の首都・東京は、マネーとエネルギーという点では、優位ではありますが、文化・生活・余暇/娯楽という点においては、秀でていると言い難い部分があると思います。

最近では、香港・シンガポールに加えて上海が、アジア最大のビジネスの拠点を東京から奪取すべくレースに参加しています。上海の人口は、東京が約1,200万人であるのに対して、約1,700万人です。また、外国人観光客数は両都市とも年間約300万人ですが、トレンド的には上海の方が上昇傾向にあるようです。「話題性」、「活気・熱気」、「自由」、「パワー」という点においては、上海の方が東京より頭一つ出ている感じがします。中国政府も、6年後に万博を控え、上海をビジネスと観光のアジアの拠点とすべく、規制緩和に柔軟に取組んでいるようです。

一方日本政府は、「観光立国」なるキャンペーンを始めたようですが、何か一つピンと来ないのが実感です。東京の中心部から遠すぎる成田国際空港よりも、香港やシンガポールの空港は豪華でアクセスが便利ですし、直行便の数も少なくありません。また、最近では携帯電話は世界中何処でも使えるのが当たり前になってきましたが、日本だけは別になっているのも不便です。外国人の方のクレジットカードも、日本では使えるものと、使えないものと、かなり制約があるようです。「日本人にとっての利便性」は良くても、「グローバルな視点から捉えた利便性」は劣っているように感じられてなりません。

また、文化や娯楽の面においては、もう少し1人1人が、「心のゆとり」を持ち、いろいろなことに興味を抱きながら、楽しむということを意識する必要があるように思います。そのためには経済を担うビジネス環境ばかりでなく、日本という国の括りの中で、官も、民ももっと努力、工夫しなければならないと思います。私の兄は画家で、「日本には芸術を受け入れる土壌が乏しすぎる」として、ニューヨークに9年、ロンドンに3年渡り住んだ後、現在、バンコクにてその活動を続けていますが、アートの世界でも残念ながらそうなのかもしれません。

そこで、日本の現状は確かに景気の停滞、政治不信、少子化など先行きに不安がありますが、今こそ、もっと我々1人1人がしっかりと前を見て、明るい将来像を描いていかなければならないと思います。さもなければ、その中心を成す東京の魅力的な都市としての成長は行き詰まり、海外からの目も東京に向かなくなることが懸念されます。そんな日本を私としましては、目の前のことにとらわれ過ぎず、中・長期的な目線で東京を中心に盛り上げるよう微力ながら努力していくつもりです。


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