各界の一言居士のみなさんに、日本を、企業を、そして我々ビジネスマンを“よく”するために、
“最近アタマにきていること”を、リレーで綴っていただくコーナーです。
◇第27回のゲストは
株式会社ガーラ 代表取締役
菊川 曉(きくかわ さとる)氏

(略歴)
昭和40年7月4日東京都世田谷区生まれ。
昭和63年3月 慶應義塾大学経済学部卒業。
昭和63年4月 株式会社博報堂入社。
平成5年9月 株式会社ガーラ設立 代表取締役社長(現任)
平成8年4月 慶應義塾大学大学院ビジネススクールアントレブレナースクール第1期生
「先日、親戚総勢20名で中国の大連に旅行に行った。私の曽祖父は、大連商工会議所の会頭をやっていたほどの豪商であったらしい。参加者の皆さんは当時大連に住んでいた方々が大部分で、私の世代で参加したの人は少なかった。
一時、反日デモがあり、落ち着き始めたというものの、大連の反日感情がどの程度のものかが心配で、すぐにガイドさんにそのことを聞いたところ、大連には多くの日系企業が進出しているのでデモもなかったし反日感情は、あまりないとのことだったので、安心した。

満鉄跡地だとかの歴史的施設を見た後にお土産屋に行った。そこで私の目を引いたのが琥珀であった。化石を集めている私にとって中国の琥珀は衝撃的だった。とにかく大きいのである。通常は大きくても腕時計位の琥珀が高さ20センチ幅10センチ厚さ3センチはあるのである。日本であれば数百万してもおかしくないようなものが、なんと10万円である。さすが中国は物価が安いと妙に納得してしまった。サソリが閉じ込められたものを14万円で買った。バスに戻ると私はうれしくて自分が買った琥珀を取り出し観察をし始めたのだが、いくつもの不審な点が見つかった。琥珀の色がインクらしきもので塗られている。サソリと共に閉じ込められていた枯れ草は、少し緑が残っているなどなど。「しまった!だまされた」と気がついた。隣の叔父は、水晶の急須を買ったが、なんとあるはずのない空気の泡が水晶の中に入っていた。つまりガラスであった。他の人も水晶といわれたものは、すべてガラスであった。
みんなから、日中友好のためには返品するべきでないと言われたが、納得がいかず、結局、返品しに行った。返品しようとすると、どこが問題なのかと厚かましく店員は言って来たが、こちらがとにかく返品したいと言い続けたところ、しぶしぶ返品に応じ、商品代金以外にホテルからお店までの往復のタクシー代金も受け取った。
次の日に再び別のお土産屋さんに行った。これが手の込んだだましの構成になっていた。2Fがエントランスになっていて、老婆が入り口で、絹の絨毯を織っていた。その後ろで絹の絨毯が売られていた。絨毯には興味がなかったので、その絨毯がハンドメイドかどうかは確認しなかったが、怪しいものである。奥に進んでいくと、どこから見ても本物の見事な鍾乳石や大きな紫水晶などが展示されていた。その見事さに圧倒されながら1Fに降りて行くと、色々なお土産物が販売されていた。
そこでもまた、琥珀が売られていた。前日のインチキ琥珀以外に、小さいのに数万円する琥珀がガラスケースに並んでいた。私は偽物だから買わないと言うと本物だと言い張る。今度はだまされないぞと思って、店内を歩いていると、また別の店員がぴったりくっついて来る。そこで、陳列してある発掘されたという馬の陶器の裏を返し見たところ、汚れが塗りきれていない真っ白な部分が見つかったのでそれを指摘すると、お店も発掘してきた人から買ったのでお店は本物かどうかわからないと言い出した。
しかも、この水晶はガラスの偽物だと指摘したり大理石はプラスチックだと指摘したり、この石の赤い部分はペンキで偽物だと指摘していると、ついには、私が偽物に近づくと、私が指摘する前に「これは、偽物だ」と言うようになった。
その店員に琥珀の本物と偽物の見分け方を教えてくれと言ったところ、塩水で浮くのが本物の琥珀で、偽物は沈むから判別できると教えてくれた。そこで、琥珀の売り場に行き、塩水に浮かしてくれというと売り場の担当の顔が変わった。
そして、塩水を作ってきて、偽物を塩水に沈めて偽物と自ら鑑定し、本物を塩水に浮かせて本物だと誇らしげに実演し始めた。ガラスケースに置いてある内の4つだけが本物で、あとの100個くらいは偽物だという。
せっかくなので本物を買おうと思い、値札の1/3の値段を言ったところ、無理だと言われた。立ち去ろうとすると、待ってくれといい、店長としばし相談し1/2でどうだと言ってきた。また立ち去ろうとすると、店長とまたしばし議論したあとに1/3でOKがでた。いい加減なものである。
そのお店で最初から偽物だと堂々と売られているコーナーが唯一あった。高級ブランド品コーナーである。高級ブランドのバッグや時計がとても安く売られていた。店員は、デザインはまったく一緒で本物より丈夫だと自慢していた。

中国は、今後どこに向かっていくのだろうか?


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