各界の一言居士のみなさんに、日本を、企業を、そして我々ビジネスマンを“よく”するために、
“最近アタマにきていること”を、リレーで綴っていただくコーナーです。
第31回のゲストは
宮下秀一(みやしたしゅういち)さん
株式会社リソー教育 代表取締役社長
リソー教育グループ http://www.riso-kyoikugroup.com/

1954年 長野県生まれ。
1973年 長野県立伊那北高等学校卒業
1982年 一橋大学商学部中退。
1982年 日本マクドナルド(現日本マクドナルドホールディングス)入社
1984年 同社退社。
1985年 日本教育公社(現リソー教育)入社。
1994年 取締役教務部長、1997年常勤監査役、1998年取締役教務企画局副局長、
2001年 取締役教務企画局局長、2002年常務、2003年専務、2006副社長、
2008年 4月社長就任。
趣味は読書(推理小説)
最近、日本を代表する作詞家の星野哲郎さんが亡くなられた。心よりご冥福をお祈りしたい。
代表作には「アンコ椿は恋の花」(都はるみ)、「三百六十五歩のマーチ」(水前寺清子)、「昔の名前で出ています」(小林旭)、「男はつらいよ」(渥美清)、「みだれ髪」(美空ひばり)等々、かぞえあげれば、きりがない。
その訃報を耳にした時に、ふとある人からの話を思い出した。その人(私よりも人生の先輩)曰く、「若い時はテレビ、ラジオから演歌が流れてくると、すぐにチャンネルを変えていた。ところが最近、年齢を重ねるとともに演歌が流れてくると、気が付くと自然に聞き入っているんだよ。」その当時の私は、そんなものなのかなと、軽く聞き流していた。

ところが、ここ数年、私自身も同じ心境になっている。演歌の歌詞に何とも言い難い憐憫の情や、哀愁の念がわきあがり、同じ様に気が付くと、真剣に聞き入っている自分の姿がある。そういう意味だったのか!なるほどな。つくづく人間は、年齢を重ね経験を積まないと、見えてこないものがある。まだまだ世の中には、自分には見えてこないもの、理解できないものが、山のようにあるんだと、この年齢になっても日々勉強と反省の積み重ねと感じる。

同様に先人が、残した格言、諺を目にする機会がある。若い時は、そのまま活字の一部として読み流していたものが、最近は格言や諺に、みょうにひっかかり、しばらく考え込む。なるほどそうだよな、その通りだな。改めて先人の偉大さに尊敬の念をいだく。

しかし、最近テレビで歌謡番組がめっきり少なくなっている (特に演歌に関しては壊滅的な状況である)。若い頃であれば気にならなかったが、ここへきて、これでは若い世代が、若い頃から演歌に触れる機会が全く無くなってしまって、まずいことになるのではないかと思うようになってきた。
もちろん、あえて聞く必要は無い。しかし、その機会すら失われているという状況に、不安を覚える。知らず知らずのうちに耳にしておくことは、自身の経験上、長い人生を送る上で大切だと思うからだ。

また、格言や諺に関しても、若い世代で本離れが進んでいるという状況を鑑みると、同じ不安を感じる。
時代の流れが早く、しかも膨大な情報が氾濫しているので、情報との接触においてネットに頼らざるを得ないのは仕方ない。本や新聞を隅々まで読み漁る時間がないのもわかる。
ただ、だからといって、すべての読書や情報収集を情報端末だけで済ませてしまうのはどうかと思う。

確かに情報端末は便利である。最新の情報がリアルタイムですぐに手に入るし、知りたいことをすぐ検索することもある。しかし、紙上の活字には、一見無駄と思える大事な言葉が隠されているのに、便利で効率的な方ばかりに流れ、活字メディアの存在感がどんどん低下している今の状況は、とても残念だと思う。

そんな次世代の若者の将来を考える自分に、「俺も多少人間として成長しているな」と想うと同時に、まだまだ自分の未熟さを感じる、今日このごろです。


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