尾川 信之氏
キリンファーマ株式会社
総務部総務担当 部長代理

薬学博士
経営学博士

1956年生まれ
神奈川県出身
趣味:近所の散策、執筆
「人材育成」には、研修、OJT、自己啓発のみならず、学ぼうとする姿勢を促すための様々な仕掛けも必要となります。人材育成担当である私の使命は、経営ビジョンの達成に向けた能力のある人材を育成するために、既存の人材育成のイメージに囚われず、必要なことなら何でもやり、収益向上に貢献することであると考えています。

私が「人材育成」において重要と思うことが3つあります。
その1つ目は、「経営戦略」と「人材戦略」が連動しているかどうかということです。
「経営戦略」は長期なり中期なり、ビジョン(目標)の達成に向けたシナリオです。「経営戦略」を打ち出した際には、社員の姿勢、思考、行動といったものがその前後で変わってなくてはなりません。従って、シナリオを遂行する「人材」についても、当然同時に考えていくべきものでなければならないはずです。
そういった経営戦略の策定段階から関わり、人材育成施策を立案し、それを実行していくのが人材育成担当であると思います。

2つ目は、「人材育成」に対する経営トップのコミットメントです。それを社員が日頃認識するための機会をどのように設定、演出するのかも、人材育成担当者の重要な役割であると考えています。
例えば、当カンパニーでは年間の人材育成計画の策定には、経営幹部が主体となって行います。これはリーダーに対し、部下育成のマインドを醸成する効果を生み出しています。
また、階層別研修では、すべての研修カリキュラムの中に、「経営幹部からのメッセージ」の時間を設けており、社員に対し企業としての“思い”をダイレクトに伝え、モチベーションを高める効果があると感じています。

3つ目は人材育成担当者が生み出す付加価値です。特に研修などは、その費用面もさることながら研修参加者が実務から離れることの機会損失をも上まわる効果を生み出すものでなければならないと考えています。
私は同業他社の人材育成担当者を上まわるような教育効果を上げる事がいかにしてできるかという意識を常に持っています。もちろん費用対効果も意識します。
企業間競争で戦っているのは、営業、研究開発、製造といったラインだけではなく、間接部門も含めたすべての部門が戦っているのです。そのすべてで勝利すれば、当然企業としても勝つと考えています。
人材育成担当者としての評価は、社内だけではなく、社外との比較によってもなされるべきであると私は考えています。
「優れた人材をどのように育成していくのか。」
今、当カンパニーでは、さまざまな施策を試行錯誤しながら取り組んでいますが、すぐに結果や成果に結びつけるといった短期的な側面に加え、“次の時代を担っていく”人材をどう育成していくかといった中・長期的な視点ももちながら人材育成を推進していこうと思っています。
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