上野 進也氏
全日本空輸株式会社
人事部人材開発担当
主席部員

1967年生まれ
東京都出身

趣味:冒険旅行

今年度の人事部としての重点施策の中に、「“ANAらしさ”を創出する人材の確保および育成」というのがあります。
企業を取り巻く様々な環境変化が激化する今日、ともすると「企業価値向上」のために組織力を強化するといった、比較的社内の経営資源の再構築に目がいきがちですが、私たちは“外”に目を向けることも大切に考えています。

広い意味の“外”という点では、特に異業種交流が重要です。
これは、「ANAの当たり前が本当に当たり前なのか」ということを検証する機会と、新たな視点の創出をその目的としています。
例えば、私自身も参加している人事担当の異業種交流会では、家電メーカーや小売業など様々な業種の人事担当者同士が集まり、個別に抱える課題を持ち寄り解決策を探ることを通して、異業種の理解だけでなく、情報交換のネットワークができたことはとても大きな財産になっています。

また狭義の意味での“外”の視点としては、私たちのグループ会社や社内の他の部門も含めていま一度見つめ直すことでもあります。
私たちの組織は、パイロットや客室乗務員をはじめ機体の整備など、航空運送事業に携わる6つの部門から成り立っており、それぞれが専門性の非常に高いプロ集団です。
しかし、一人のお客様に提供するサービスは、部門ごとの成果ではなく、すべてトータルしたANAのサービスの集合体であることを、改めて私たちは再認識すべきであると考えています。
それは、ANAグループ全体としても捉えるべき課題であり、そのために人事部は、グループ全体を巻き込んだ人員計画から教育機会の提供まで様々な施策に取り組んでいます。
もちろん、ANA単体からグループ全体で参加する研修に切り替えたことで、グループの結束力を強化することを狙いとしているわけですが、そのためにも相互交流をどのように活性化させるかも人事部の大切な役割です。
その一つとして、研修初日終了後の懇親会も「コミュニケーション・トレーニングwithアルコール」という名に置き換え、研修の一環として参加必須のプログラムとして位置づけました。些細なことかもしれませんが、研修として拘束する時間を有効活用するためにもあくまで真面目に取り組んでいますが、研修参加者からは大変有意義な時間で、翌日の研修だけでなく、研修終了後も良好な人間関係ができたととても好評です。
今年度、既存の研修全体の見直しを行っていますが、結果としてANAのグループ力強化によるシナジー効果がどうすれば生み出されるかを最優先に考えています。

会社として“ANAらしさ”を求める中で、人事部として“ANAらしい人材”を育成するためにどのような仕掛けをつくるか。日々試行錯誤しながらですが、少しずつでも“ANAらしい教育”が提供できるような“ANAらしい人事”をめざして邁進しています。

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