若宮靖史氏
株式会社マルハヒューマンアシスト
人材開発グループ
グループ長

1961年生まれ
岐阜県出身

趣味:美味しい酒と魚を食べに行くこと

私ですが、マルハグループの人材開発を企画・実施するこの部署に先春に異動してきたばかりで、それまではマルハの水産商事部門でアラスカ・カナダ・ロシア産のカニの買付・販売をしておりました。
入社以来23年間商売だけをやってきたもので、売る・稼ぐという数値目標を達成することが実に大きな使命であって、これまで自分自身や部下の人材育成というのはそれほど真剣に考えたことはなかったと思います。要するに研修などなくても商売を通じて自然に人は育つはず、という考え方だったのでしょう。

このような私ですから正直あまりたいそうなことは申し上げられませんが、研修等の人材開発サービスを享受する側の事情や本音は意外とよく理解できるのではないかと思います。
こんなことを言っているとまた叱られますが、商売等の「仕事を通じて自然と人は育つ」という考え方ですが、それもかなり本当だと思います。社員は研修どころじゃないくらい忙しいし、高々年二日か三日受講するかどうかの研修よりも毎日の職場のOJTから学ぶことの方がボリュームにおいて圧倒的なのですから。

そんな訳ですので、さまざまな企業の人事担当の方とお会いする機会にもよく聞くことですが、一定のねらいをもって企画した研修については、それを「提供する側」とそれを「受ける側」とに少なからぬ温度差があるようです。これは残念ながら弊社においても時々感じることがあります。
それこそ私自身が現場で商売をやっていた時に研修を多少鬱陶しいものと感じたこともあったわけですから、なかなか企画提供者の思うようにはその価値をひろく社員にきちんと理解してもらうことが難しいのは事実です。結果として、自由参加型で費用の自己負担を伴う通信研修等については、たとえ会社が補助制度を設けても参加者はごく僅かというのが実情で、やはり能力開発責任者としては、社員がプロとして自律的にキャリア開発する意識レベルに至るには、まだまだ多くの努力が必要と感じます。

そこで階層別必須研修について。これは社員の自主性と関係なく昇進した年度に対象者全員が受講しますので、研修前はどうかわかりませんが、終了した時には確かにほとんどの受講者は研修の意義や価値を自覚してくれています。誰もが日々の業務でも多くを学んではいますが、研修はもっと広い視野・高い視点で考え学習する価値に気づかせる一つの有効な手段でもあります。
特に最近は組織がチームやグループといった比較的小さなユニットに細分化されていること、成果主義的な評価制度等により、どうしても社員の視界が近く狭くなってくる傾向にあります。そこでせっかく同じ職責で似通った悩みを抱えた社員が集う研修ですから、カリキュラムはもちろんですが、夜の宴席は受講者が会社全体やもっとひろく社会のあり方等も考える機会にもなるよう、(小生この分野は経験的に得意分野と自負しておりますが)ほとんど私の趣味で色々と工夫をします。

結局社員にとって研修の価値の半分くらいは意外とそんなところにもあるような気がします。


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