喜安 克敏氏
日本ミルクコミュニティ株式会社
管理統括部 総務人事グループ 教育研修チーム

1972年生まれ
東京都出身

趣味:オープンウォータースイミング(海上での競泳)

スーパーやコンビニなどでもおなじみのメグミルク。はじめて見たときの、あの赤いパッケージのインパクトはとても大きかったことを思い出します。
5年前の2003年1月に、全国農協直販、ジャパンミルクネット、雪印乳業(市乳事業)の3社がひとつになって新しくスタートした日本ミルクコミュニティ株式会社(コーポレイトブランド:メグミルク)。
その人材育成を担当されている喜安さんにお話をお伺いしました。


■コーチングとの出会い
2年前に教育研修チームに異動になるまでは、ロジスティクス部門に所属していました。
ある時期に、生産計画策定の支援システムを新たに導入するためのプロジェクトを任されることになったのですが、なかなかプロジェクト活動が上手く進まないことにアタマを悩ませていました。
特にメンバーのマネジメントには苦労しました。
プロジェクトは通常業務が終了してから行われるため、何か期限付きで依頼事項をしたとしても、日々の業務の負担が大きいことを理由に、なかなかスケジュールどおりにいかないことが多かったですね。それまで私は、いわゆる「指示型」でメンバーに接することが多く、メンバーの方も協力的な姿勢になってくれていなかったのかもしれませんが(笑)。
そういった状況が続き、プロジェクトの期限が迫ってきたある時、社内の階層別研修があって、そこで「コーチング」というものをはじめて知りました。
「これはプロジェクトにつかえる・・・!」
そう直感し、とあるコーチングセミナーに参加し、勉強をはじめることにしました。
コーチングを勉強してから、プロジェクトメンバーとの関わりは180度変わりましたね。
メンバーとのコーチングセッションを行うことで、プロジェクトとしての活動だけでなく、メンバーの業務にまで深く入り込むことになりました。メンバーが抱える業務上の課題解決を行うことによって、プロジェクト活動への参画意識や意欲を高めていったのです。
そういった関わりを通じて、メンバーとのより強く良好な信頼関係を築けたことで、結果プロジェクトは成功を収めたのですが、この経験から、特にマネジャーにはコーチングスキルを身につけてほしいと感じるようになりました。
その想いを、偶然昼食の時に同席した管理の統括部長に伝える機会があって、「ぜひコーチングセッションを受けてほしい」「社内でコーチングを導入してほしい」と直訴したことが、教育研修チームに異動することに繋がったと思っています。これは、私自身がコーチングを学んで、コーチングを自分自身に対して行った結果による自己実現と思っています。

■コーチングの導入
全社的な方針の一つである「チーム力強化」の一環として、2年前から全マネジャーを対象にコーチング研修を導入しています。現在約100名のマネジャーの方が受講されました。
やはり導入当初は、抵抗感がとても強く感じられましたね。一番最初は支店長や工場長といった所属長クラスを対象に研修を行ったのですが、今までのマネジメントスタイルを変えていく必要があった方は当然勇気のいることだと思います。
ただ、回を重ねるごとに、そういった抵抗感は徐々にですが薄れている感じがします。
所属長よりも若い管理職クラスが、新しいやり方に対する考えが柔軟であることももちろんですが、先に研修を受講された所属長クラスが、部下である管理者がコーチングを取り入れていくことに理解を示し、実践できる環境を整えてくれていることも大きな一因であると思います。

「大玉を動かすために一番大変なのは動き出すまでの段階である。そのために、まず動かすために大玉を押す人の数を増やすことが大切である。」
これは当社のコーチングの講師が言った言葉ですが、少しずつですがコーチングを社内に導入し、人材育成を通じて組織の活性化を図っていくという大玉を押す人の数は増えてきていると実感しています。

■人材育成担当としてのこだわり
昨年度、階層別研修の見直しを行いました。
特に管理職になるまでの一般職の3つの研修については、研修を企画する際の私のモットーである「楽しく」「わかりやすく」「すぐに使える」内容であることを特に意識しました。
そのためにも外部の研修会社に研修を依頼する時は、以下の4点を基準に選定しています。
1つ目は、実際に私自身がその研修を受講していることです。これは、企画する立場としての視点だけでなく受講者の視点を大切にすべきであると考えたからです。
2つ目は、ゲームやシミュレーション演習が盛り込まれていることです。これはモットーでもある「楽しく」「わかりやすく」の要素であることも理由ですが、それ以上に演習を通して得られた気づきや、体験が、研修内容を現場で実践することに繋げるためにとても大切であると考えているからです。
3つ目は、講師の力量です。講師としてのインストラクションスキルはもちろんのこと、研修を円滑に進めていくファシリテーションスキル、あるいは場の空気や、受講者の理解レベルを読めているかといった視点も、研修講師には求められるからです。これは、1つ目の選定基準である実際に研修を受講することで見極めをするようにしています。
最後は、研修効果の持続性が期待できるプログラムであることです。研修の事前や事後のアンケートなどは取るようにしていますが、それ以上に効果を持続させるためにも、プログラムのカスタマイズを前提としています。これはモットーの3つ目「すぐに使える」研修であるために必須であると考えています。

「自ら知恵を出して行動する」時代と言われて久しいですが、それを人材育成担当者として実現させるためにどうするかを常に意識しています。
私自身、あの日統括部長に直接掛け合い、現在社内でコーチング導入の旗振り役になりました。
私にとってこの会社は「やりたいことを実現でき、共に育つ会社」であると感じています。
そういった思いを一人でも多くの社員に感じてもらいたい!
そのために役立つ研修の企画をこれからも行っていきたいと思います。


どうもありがとうございました!

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