上妻祐司 様
共同印刷株式会社
人事部 教育課 課長

神奈川県出身
趣味:読書、リュックサックを背負って散歩(三浦半島、鎌倉方面)  


おそらく多くの方が「2、6、2の法則」という言葉を耳にされたことがあるのではないでしょうか。
どのような組織にも、自発的に能力を高めることを人生の目標として、それを達成するプロセスに喜びを感じる人が2割、周囲の環境によって自己啓発の意欲が変化する人が6割、やる気も能力もいま一つという人が2割いるのだそうです。学校とは違い、企業における能力開発は自己啓発が基本です。それを効果的に機能させるには、意欲の喚起と継続がネックになってくるのだと思います。上位2割の人たちは、もともと自分自身の中にモチベーターが存在していますので、ある程度のサポートさえあれば特別な施策は不要です。しかし、残りの人たちにとっては、自分の職場に「自己啓発を助長する風土」が存在しているのかどうかが、その行動に大きく影響を与えるのだと思います。

では「他燃型人材」が自己啓発の意欲をアップするような風土を職場につくるには、どうしたらよいのでしょうか。部下に権限を委譲し、仕事を任せることで「自らやらざるを得ない状況に追い込む」ことも効果的だとは思います。しかし、その前提として「職場リーダー自身の在り方と行動」が重要なポイントになるのではないでしょうか。

弊社ではコーチング研修後に1年間、社内委員会で課長の部下指導をサポートするような活動を展開しています。もともと職場風土改革を目的にスタートして今年で7年目を迎えました。これまで135名の課長のコーチング指導を観察し、ひとりひとりへ指導面でのアドバイスをしてきましたが、そこから見えてきたことがあります。それは「質問」「傾聴」「承認」「フィードバック」といったコーチングスキルを駆使する前に、課長自身が部下から信頼されていないと何をやってもダメだということです。

コーチングは指導効果が見えないスキルだ、といったことを口にする課長もいます。その場合、指導の内容以前に「課長自身の在り方や接し方」に対して部下が反発をしているという状況を目にします。部下は日ごろから課長自身の仕事への姿勢や人柄を値踏みしています。つまり指導をする際には、何をどの様に伝えるのかではなく、誰の口から発せられた言葉であるかが重要であるという事です。

人の感情や性質、価値観は自分自身も含めて誰にも変えられないのだそうです。しかし、考え方や行動は、自分自身が気づくことで変えられると言われています。コーチングは自ら気づかせるという手法がベースになっていますから、部下の意欲を高めて自己啓発を促すには最適のスキルであると言えます。コーチングスキルを活用して自己啓発をする風土を職場につくるには、「職場リーダーへの信頼」という前提条件をクリアしなければなりません。この前提条件をクリアしてこそ、部下は自ら気づき、内側からやる気が生まれ、自己啓発をする風土が職場に醸成されていくのだと思います。それには、リーダーと部下が濃密なコミュニケーションをとり、普段から揺るぎない信頼関係をつくっておくことです。そして、リーダーが仕事へ情熱を持ち、真剣に取り組んでいる姿を部下にしっかりと見せる、さらに人間力を磨くことも重要になってくるのだと思います。

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