山村 和人さん

三重県農業協同組合中央会
経営対策部教育研修課
(三重県農協総合研修所)

出身地:三重県伊賀市

趣味:無趣味が趣味。熱しやすく、冷めやすい性格。
    何にでも興味を示すが、しばらくすると飽きてしまう。
    そんな性格のため、何事も成就せず、中途半端で終わってしまう。
    だから、周りの人から見ると、無色透明無味無臭の全く面白みの
    無い人間に写っているかも?  

山村さんが勤めていらっしゃる農業協同組合中央会は、協同組合の一つである「農業協同組合(愛称でJAと言います)」の健全な発展を目指し、種々の事業を展開しています。
中央会では、三重県下15の総合JA(金融・保険・経済事業を総合一体的に行っているJAのことです)の役職員約4千人を対象に人材育成のための教育研修を実施しています。

研修内容は大きく二つに分かれていて、一つは階層別を基本とした「基本研修(所謂気づき研修)」であり、もう一つは、事業推進に必要な「実務研修(知識研修)」です。
中央会では、基本研修と一部資格取得のための養成研修を担当しています。実務研修については、JAグループの一員である事業連合会(全国又は県をエリアとする事業別のJA)が担っています。

三重県では、これら二つの研修を有機的に結び付け、より研修効果を高めるために、津市内に研修施設を擁し、年間延べ1万3千人もの方が受講されています。


教育研修担当者としての役割
「協同組合」ということで、一般の「営利を目的とする企業」とは理念での違いはありますが、組織の中でのマネジメント手法については何ら変わりありません。従って、一般の企業と同じく、内定者から上級管理職(部長)、役員までの階層別にマネジメント能力向上のための研修を基本として企画・実施しています。

まず、教育研修・人材(財という字を使用するところもあります)育成・開発部門の担当者・スタッフはHRM(人的資源管理)の立場から、人材を経営資源として捉え、経営目標達成のために個々の活動(業務)と密接にリンクした企画が重要であると思っています。つまり、教育部門は組織(企業)人材の創出者でなければなりません。

そのため、教育研修は経営目標を達成させるための「優秀な人材育成事業」であり、現場から成功例としての人材像と具体的なやり方を抽出し、描く必要があります。それは、現場の成功者から聞き取りを行い、経営目標を実現するためのあるべき姿を人材モデルとして明らかにすることと思います。つまり、成功者から基本特性、コンピテンシー(能力スキルとマインド)、ベストプラクティス(成功事例)を抽出しモデル化することです。このモデルが「優秀な人材像」であり、あるべき姿となります。


次に、研修対象となる者の平均的なコンピテンシーを分析し、モデルに必要なコンピテンシーとのギャップが学習目標となり、それを達成するために組み込まれたものが研修プログラムとなるはずです。そして、ビジネスにおける能力育成を「知識分野」と「知恵分野(ケーススタディー)」の二つの分野から研修プログラムを企画することが大切だと思います。この「知恵」の全員での共有、所謂ナレッジマネジメント、の仕組みづくりが大切になります。

このように、ニーズに合致した研修プログラムを企画し、経営目標達成の人材を育成することが教育研修担当部署の役割といえます。
まさに、組織における教育研修は「マーケティング活動」そのものであります。これは、手間と時間とお金が掛かります。

私は、教育研修担当部署は組織にとって、縁の下の目立たない部署だと思っています。地道に繰り返し研修を実施し、めざすべき人材の育成を図るのみだと思います。決して教育研修担当部署のための研修では自己満足に過ぎません。自戒すべきです。


私たちが目指すべきもの
最後に、私たちの組織は「農業協同組合」です。
人材育成の前提として、「農」と「協同」の心があります。協同組合人としての誇り・心構えです。そして、農業協同組合としてめざすべき統一された経営理念があります。「JA綱領」です。
中央会が実施する基本研修においては、開講時にJA綱領の唱和又は綱領内容の解説・確認を行い、役職員としての行動を再認識しています。

協同組合の願いは、競争ではなく助け合いの力(協同)でみんなの幸せを実現することです。みんながあったかい心でふれあうことです。みんなの心があったかいと、ホッとするものです。そんな社会を協同組合はめざしています。



どうもありがとうございました!

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