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第5回:マネジメントがだめならあなたですよ!
「失われた10年」からようやく抜け出して、経済が少しずつ良くなってきたかと思ったら、あっというまにアメリカのサブプライム・ローンのおかげで大不況です。日本の超低金利政策がサブプライムを引き起こした一因の一つとも考えられなくはないので、「アメリカのおかげで不況」などとはあまり言えませんが、いずれにしても100年に一度とも言われる不況です。

企業はどこも厳しい。それでも、バブル崩壊後の不況よりは、雇用に関する調整は進むはずです。10年前は、企業はどこも正社員ばかりを抱えていたわけです。正社員を“リストラ”するのはかなり難しかった。
▲横須賀に日露戦争で活躍した三笠を見に行きました。東郷平八郎を支えた秋山真之ら参謀たちは本当に若く、しかも優秀だったんですよね。
若くて有能な人材の積極的な登用ですよ!いつの時代も。
でも、今回は雇用の調整は、失われた10年に比べると、早く進むはずです。
“派遣切り”が社会問題となっていますが、企業からすると調整は景気悪化の早い段階から行うことができる。もちろん、雇用が不安定になるとどうしても消費は控えられてしまいます。それでも、しっかりとした商品やサービスは売れる。ハイブリッド専用車となったホンダの新しいインサイトは発売されていきなり受注1万台突破しています。Will Fitも大人気です。市場が伸びているときは多くの企業が売り上げを伸ばすことができます。経済状況が悪くなってくるとそうはいかない。転換期こそ、マネジメントの戦略が重要になっています。

 たとえば、内需型の企業にとってはチャンスです。国内の需要をターゲットにしている産業や企業は今回のサブプライムの不況のダメージは比較的少ない。反対に、日本の経済を牽引してきた輸出依存度の高い産業のダメージが大きい。学生はどうしても内需型の企業より輸出型の企業を第1希望にすることが多い。そのため、内需型の企業はなかなか優秀な人材をとることが難しかった。でも、今は、輸出依存度の高い企業は雇用をかなり控えています。新卒で優秀な人材をとるチャンスです。

アメリカ市場一辺倒からの脱却を図る良いチャンスでもあります。育児や介護用品製造のピジョンは中国に展開し、高級育児用品を中心に大きな利益をだしています。韓国の現代自動車は国内やアメリカなどでの投資を控える一方で、この不況から脱したときにすばやくヨーロッパ市場をとれるように小型車を中心に東欧に大きな投資をしています。

 マクロ経済状況が悪いときこそ他の会社と同じことをやっていては利益をあげることは難しい。戦略が大切になってきます。経済状況が悪いからといって、全てのビジネスが上手くいかないわけではありません。アルフレッド・スローンは、1929年の大恐慌の際にも、モデルチェンジと計画的陳腐化、ROI(Return On Investment:投資収益率を示す指標)の導入などといった改革を進め、当時の自動車業界の巨人のフォードを一気に追い抜いたのです。マイケル・デルがデル(当時の名前はPC’s Limitedですが)を設立した1984年、アメリカの失業率は10%にも届こうかという勢いでした。

▲少しずつではありますが、春めいてきました。横須賀は横浜や東京よりも少しだけ暖かいですね。
ビジョンも戦略もなく、ただ、不況の嵐が去るのを待っているだけなら、マネジメントはいりません。そんなマネジメントにはろくな未来はありません。あなたの会社はどんな戦略をもっているのでしょう。もしもコストダウンを叫ぶ以外に何もなければ、あなたがイノベーターになる大チャンスです。


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