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第7回:多いチャンス、高いアスピレーション、日本とインド モマヤさん
今月は、この「雲外蒼天」に初めてのゲストです。ロンドンの第23回で芸術家の河田さんに登場してもらって以来の久々のゲストです。

 ゲストは、インド工科大学の先生で、現在、一橋大学のイノベーション研究センターで企業の戦略的提携を研究をしているモマヤさんです。インドは、なんと言っても、「世界最大の民主主義国」を謳う大国です。これからまさに大きく成長しようとしている国です。インドと日本の違いをモマヤさんにきいてみましょう。
▲モマヤさんとは、ランチを食べることが多いんですけど、いつも分けてくれるんです。僕の方が大きいお弁当食べてるのに!

清水さて、モマヤさん。今回、日本に住むのは2回目なんですよね。どうですか。東京は変わりましたか?

モマヤ:そうです。92年に日本で勤めていました。それ以来、16年ぶりに戻ってきました。久しぶりだけど、それほど大きく変わった感じはしないですね。

清水そうですよね〜。ムンバイとかデリーとかはきっとドラマティックに変わっていますよね。それと比べると東京はあまり変わってない。変わってないどころか、都市のパワーみたいなものは落ちているかも知れませんよね。

モマヤ:それでもね、日本はやっぱりすごいと思うんですよ。どこに行ってもきれいだし、インフラがしっかりしてる。それに格差が小さい。最近格差が開いてきたと言ってるけど、それでもインドと比べれば、ものすごくその差は小さいですよ。これはほんとにすごい。教育もしっかりしてる。私の子どもは小学校に行ってるのですが、都会でも田舎でもどこでも同じような水準の教育が受けられる。

清水確かにそうですよね。でもね、日本でも格差が開きつつある。なおかつそれが固定化しつつある。だって、東大の親の所得が他の大学よりもかなり大きいんだから。これは大問題ですよ。ほんと。ところで、モマヤさんは、日本語も達者ですし、日本がほんとに好きみたいですけど、日本のここはダメ〜!なんていうことはないんですか?

モマヤ:そうですねー。日本人はほんとに勤勉でハードワーキングで、好きなのですが、日本は物価はやっぱり高いですよね。あ、あと女性の活用はかなり遅れていると思います。インドのほうがこれは進んでいる。国の行政機関でも、民間でも、政治でも。例えば、大学でも女性の教授は多いです。日本はまだまだ少ない。事務の人や助手の人は女性ばかり。性別でかなり仕事が分かれてる。これはやっぱりおかしいですよ。具体的な統計は分からないけど、私の周りではインドで女性はかなり活躍しています。

清水ほんと。これはおかしいですよね。日本の女性には優秀な人がほんとに多い。これをどんどん活用していかないとね。でも、インドよりも女性の社会進出が遅れているというのは意外でした。

モマヤ:そうですね。最近は女性の社会での活躍がどんどん進んでいますよ。日本はほんともったいないですよ。
それと、インドは今、若い人のアスピレーションが本当に高い。しかも、経済が自由化されてチャンスも増えてきた。失敗しても、OK。もう一度チャレンジすればよいと思ってる。田舎にいても、メディアの影響もあって、チャンスが増えているとみんな感じてる。日本はどうだろう。

清水エキサイティングですね。まさに、「Boys, Be Ambitious!」。若い人のアスピレーションが高いっていうのは社会の大きなエネルギーになりますよね。

▲新緑の季節ですね。高幡不動に行って来ました。これから梅雨まではほんとにいい季節ですよね。
日本はその点、ちょっとインドには負けているかもしれません。ただ、「大志を抱け!」っていうスローガンだけではダメですよね。やっぱり、チャンスが多くて、失敗しても次があるっていうのは大切ですよね。これさえあれば、イノベーションはどんどんでてくる。だって、チャレンジはそれ自体で楽しいんだから。チャンスがあって、失敗が許容されれば、チャレンジは増えますよね。チャレンジが増えれば、ブレークスルーも増えてくる。まさにシリコンバレーがそうだった。次々とイノベーションが出てきますよね。

ちょっと、日本も負けてられないですね。まずは、インドに行って、エネルギーをもらってこないとダメですね。

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