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第26回:知識社会の次 To do, or Not to do, That is the question
 サブプライムローン問題以降、なんだか新自由主義経済の旗色がすっかり悪くなりました。金融資本主義の行き過ぎだと批判されました。確かに行き過ぎた面はあったでしょう。しかし、僕は今でも基本的には、規制緩和に賛成ですし、自由な競争が良いと思っています。人やお金の流動性は高い方が良いと思っています。
その最も大きな理由は、どこの国に生まれたとか、人種や性別、年齢などに関係なく、能力やアイディア、知識などが重要な評価の基準になる社会の方が良いと思っているからです。

▲一橋大学の学園祭です。今年は堀江貴文さんの講演会の司会で僕も参加しました。堀江さんも実行力の話しをしていました。
 ドラッカーが『断絶の時代』で知識社会の到来を告げてからすでに40年以上がたっています。彼は、知識のみが重要な社会の到来を論じていました。お金の流動性が本当に高ければ、アイディアさえ良ければどんどんそこに投資が集まるはずです。優秀な人もどんどん集まってきます。つまり、人やお金の流動性が高ければ、知識こそが競争力の源泉になるというわけです。どれだけ大きな会社かなどは全く関係ないのです。新しい知識を生み出せる高い専門性とクリエイティビティがカギなのです。

 ただし、情報通信技術がここまで発達してくると、実は知識社会というよりも、もう少し違った風景になってくるのではないかと感じています。情報へのアクセスのコストはとてつもなく下がっています。また、SNSなど一緒にモノを考えることのできるコミュニティも多くなっています。そうなると、新しいアイディアはどこにでもあるし、それにアクセスもすぐにできる。

 こうなってくると、あとは「やる」か「やらない」かだけです。新しいアイディアを実行してみるか、やらずにいるかの差はとてつもなく大きい。例えば、マイクロファイナンス。これと同じようなアイディアは以前にもあったわけですが、実際にやったのは、ムハマド・ユヌスさんのグラミン銀行なのです。

もちろん、新しいアイディアは成功を保証してくれるわけではありません。トライアル・アンド・エラーを通じたアイディアのチューンアップは必須でしょう。しかし、重要なのは、実行力です。人やお金の流動性が高くなり、情報や知識へのアクセスが簡単になればなるほど、実行力の差のみが残るのです。


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