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第41回:型破りとムチャクチャの差
 企業の競争戦略を考える時に、経営戦略論の観点からすると、いくつかの定石のようなものはあります。いろいろな産業の企業のさまざまな戦略とその後の結果を分析していくと、ある一定のパターンのようなものが出てくるのです。

 ただ、イノベーションを教えていると、クラスでは次のような質問が出てくることがあります。

「イノベーションとは、他と違うことをやるから、新しいのではないですか?」
「だとしたら、これまでのパターンを学ぶことにどんな意味があるのでしょう?」

 なかなか鋭い質問です。たしかに、イノベーションとは、経済的な価値を生み出す新しいモノゴトですから、これまでのパターンとは逸脱したところにあるはずなのです。

 ここで大切なのは、「型破り」と「ムチャクチャ」の差です。定石やパターンをしっかりと身につけた人だけが、その型からでる「型破り」になれるのです。もちろん、「ムチャクチャ」にいろいろなことを試していれば、たまたまホームランに出くわすこともあるかもしれません。しかし、次の打席でもヒットやホームランを打てるとは限りません。「ムチャクチャ」なのですから、結果はランダムになります。

 柔道や空手、剣道などと同じです。基本の型を身につけているだけでは、勝負には勝てません。基本の型に何を付け加えるかが勝負なのです。芸術も同じです。ゴッホやピカソなど高いクリエイティビティを発揮している人たちは、かならず美術史上の定石を踏まえた上で、いかにしてそこから自由になるかを考えているわけです。決してムチャクチャではないのです。基本がしっかりしているからこそ、そこから効果的にはみ出ることができるのです。

 それでは、基本とは何でしょう。これは専門性です。高い専門性が「型破り」には必要なのです。あなたの専門性は何でしょうか。アカウンティングだと答える人もいるでしょうし、ファイナンスの人もいるでしょう。生産管理かもしれませんし、人的資源のマネジメントの人もいるでしょう。B to Bのマーケティングかもしれません。事業戦略の策定という人もいるでしょうし、ファシリティ・マネジメントの人もいます。

 高い専門性を持った人材が、その専門性に閉じこもることなしに新しいフィールドに出ていく時にこそ「型破り」が起きやすいのです。専門性なしに、「ムチャクチャ」の道を歩んでいってもなかなかイノベーションへとたどり着きません。あなたの専門性は何ですか? 


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