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第44回:やっぱりグリーディーではなかった今年の500円のビジネス
 「5ドル(500円)でビジネスを」を今年もやりました。ルールは、「2週間以内に、実質的な労働時間は2時間以内で、ビジネスをすること」というものです。ここ4年間ほど1年生の授業で続けてやっているものです。これまでの最高記録は2万円です。

この記録を塗り替えるべく今年も高校を出たばかりの1年生が4つのチームに経営資源の入った封筒が渡され、それぞれのチームがビジネスに挑みました。封筒の中身は次のようなものでした。

Aグループ:500円
Bグループ:500円、タオル、各種文房具
Cグループ:500円、大きく「ぶ」と「マ」と印刷されたA4の用紙50枚ずつ
Dグループ:なし

 これまでの傾向だと、勝つのはDグループでした。経営資源が何もないからこそ、発想が自由に広がって、思いつかないようなビジネスができるのです。Bグループのように“使えそうな”ものが経営資源として与えられると、どうしてもそれを活用しようとして、発想が自由にならないのです。

 ところが今年は、1つのグループを除いて、経営資源に縛られることなく、全く自由な発想でビジネスを行なっていました(実のところは経営資源を活用したビジネスをどうしても思いつかなかったので、無視することにしたというのが実情だったのですが)。

 経営資源を使ったのはAグループで、天気予報で台風が来ることを知った彼らは、100円均一で傘を仕入れておき、雨が降り始めた頃に傘を持っていない学生に200円で売ったのです。記録を塗り替えるほどの儲けはありませんでしたが、需要がどこで発生するのかを予想したビジネスでした。考え方としてはまずまずです。

 今年のトップのグループの儲けは1万3000円でした。何をしたのかは、次年度もあるので秘密ですが、これまでの記録からすると2番目の好記録です。このグループはCで、500円以外は、ほとんど意味のない経営資源を手にしたグループでした。

 他には、大学のそばのカフェを集めてチラシを作ったところもありました。一橋大学のある国立にはおしゃれなカフェがたくさんあるのです。その中には、最近オープンしたものや、ビルの2階にあり目立たないようなところも多くあるのです。そのようなカフェを集めて、クーポンのついたチラシをつくり、広告料を募ったのです。

 このように面白いアイディアはでるのですが、去年同様に、今年も学生の儲けに対する執着心はあまり強くありませんでした。全然、グリーディーではないのです。相変わらず、アイディアとしてはこの「5ドルでビジネスを」のスタンフォードに負けてはいません。ただ、1つの重要なちがいは、価格付けです。ぜひとも来年は、これまでにないような大きな儲けがみたいです。大きな儲けは、創りだした価値の大きさと考えて良いわけですから。


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