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連載コラム
第5回:論理思考力とは? 〜「当たり前」だからこそ難しい?〜

前回は「知的好奇心」につづいて、今回は次回とセットで「論理思考力」と「直観力」のペアについて解説します。これらの2つの力は、いわば地頭力の「基本動作」と呼ぶことができます。自動車の「走る」「止まる」「曲がる」のようなものと考えていただければよいでしょう。今回はその前半として論理思考力を取り上げ、次回に直観力を解説した後に「論理」と「直観」の対比についてお話することにします。

地頭力の「第2層」の位置づけ
前回の解説では、地頭力の構成要素の「3階建て」のモデルの1階部分である「知的好奇心」についてご紹介しました。これは「考える」という思考回路を起動するためのものでした。続く今回の第2層というのは、すべての思考に用いられる基本動作です。再確認していただきたいのは、前々回にご紹介した地頭力の3階建ての積み木の絵というのは、2段目と3段目との関係が上から見ると直角に交わっているところがポイントなのです。つまり、次回から解説する仮説思考力もフレームワーク思考力も抽象化思考力もこれら「論理」と「直観」の両方と組み合わせて活用する必要があるということです。
これらのうちまずは「論理思考力」とは何かを見ていきます。

論理思考力とは「当たり前力」
まずは皆さんに考えていただきたい質問があります。
「論理的な人」と「非論理的な人」の話の最大の違いは何だと思いますか?(唯一絶対の「正解」があるわけではありませんが、本稿なりの回答を最後に示しますので、皆さんなりの答えを考えてから先に進んで下さい)
いまビジネスパーソンに必要な能力としてこの「論理思考」や(これと同義の)「ロジカルシンキング」というものがクローズアップされており、企業での教育を行っていく上でもすべての従業員に基本の能力としてトレーニングコースを用意されていることと思います。
ここでこの「論理思考力」というものを私なりに(少し乱暴ながら)一言で定義してしまえば、「誰が見ても話をつなげられる能力」ということができます。ここでのポイントが2つあって、「誰が見ても」と「つながっている」ということです。文書やプレゼンテーションをしていて、自分から話がつながっていないと思っている人はおそらくいないでしょう。でもこれだけ「論理的に」考えることが必要だと呼ばれるに理由には、「誰が見ても」というところが難しいのです。人はみな無意識のうちに勝手な「自分勝手な論理」でものを見てしまっています。これを純粋に客観的な目で見て「つながっている」あるいは「矛盾がない」ように考えることが論理思考なのです。
そう考えてくれば、完璧な論理思考を身につけたからといって、新しい発想が次々に出てくるかといえば必ずしもそうではないことがわかるでしょう。実は「論理思考」というのは、いわば「当たり前のことを当たり前にする」能力でしかないのです。それでもこれだけ「論理思考」が取り上げられるのは、その「当たり前のこと」がいかに難しいかということなのですが・・・)
ここまで見てくると、冒頭の質問に対してのここでの答えは、「本人しか気付かない話の飛躍があるかどうか」の違いということになります。皆さんの周りで「この話はおかしいな?」と思うことがあったら、「どうつながっていないのか?」ということをまずは考えてみてください。
次回は「論理思考力」のパートナーである「直観力」について解説します。


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