第6回 “人は、しゃべりながらクリエイティブになっていく”

いま、ビジネスマンにもっとも必要とされるものは何? と尋ねられたらどう答えますか。マーケティング力、リーダーシップ力、コミュニケーション力、いろいろ挙がるでしょうが、不可欠なのに欠けているものが、クリエイティブ力。そうです、毎日言われているでしょう。画期的なアイディアを出せ、アタマを使え、発想が貧困だ、と。でも、どうすればいいのかわからなくて、アイディア本や発想本を探しまくる。それでも、答えは見つからない。そんなところでしょう。

では、クリエイティブって何? 多くの人が思っているのが、アーティストや芸術家に与えられた特別の才能。ピカソやビートたけしやジョンレノンが持っているもの。確かに間違ってはいません。でも、それだけがクリエイティブでしょうか。辞書を引くと、創造力、独創的、常軌を逸した、突飛など、やっぱりねと思う解釈も多いのですが、有意義、建設的という意味もある。じっとそれらを見つめていると、その根底にあるものが見えてきました。生み出す、考え出す、作り出す、思いつく。これなら、できそうでしょう。子供の頃は得意だったはず。みんなで遊びを考え出したし、へんてこりんな工作も当たり前だったでしょう。それが、なぜできなくなったのか?

答えは、おとなの社会。そこは、ルール、常識という強固な壁に囲まれている。だから、守らなければそこから追い出されてしまう、という恐怖があるのです。そしてそこにずっといると、そのルールや常識が身に染み付いてしまい、クリエイティブを遠ざけてしまうのでしょう。つまり、クリエイティブはみんなのココロの奥底で休眠中。ちょっと、たたき起こす必要があるのです。

まず、クリエイティブを妨げているものを認識するのが第一ステップ。
* 固定観念
* 既成概念
* 社会通念
* マンネリ
* 非常識への恐れ
* 横並びの価値観
* 過去の成功体験
などです。心当たりがあるでしょう。

次は、固定観念をはずす方法。
* 通常のやり方を変える
* あたらしい視点を探す
* 習慣からの脱出
* 常識を疑ってみる
* 質より量
* 途中でジャッジしない
* 素人の意見を聞く
* ネガをひっくり返してみる
* ねばならない、をやめる
* な、わけがない、をやめる
などです。
どっぷりとおとなの世界に浸かっている人には難しいでしょうが、これをリストにして机の前に張って意識してください。変化があるはずです。
最後に、簡単にクリエイティブになる方法。

それは、人とどんどん話すこと。できれば、知らない人、マンネリに陥っている関係の人。考えてもみてください。知らない人と話す時、相手が何を話すかわからないでしょう。それなのに、相手の言葉や話題に合わせて話すことができる。じつはこれ、脳のクリエイティブな作業なのです。いつも使っている脳細胞には同じ情報しか入っていない。だから、それをいくら絞っても同じ答えしか出てこない。ところが、知らない人と話す時は、違う脳細胞が働かざるを得ない。それで、脳の中に違うネットワークができあがる。この、違う脳の組み合わせを作ることが、クリエイティブなのです。

簡単でしょう。いっぱい話すだけ。そうやっていれば、脳が違うように働き、あなたはクリエイティブになっていく。これは、間違いなくビジネス成功の鍵です。逆に、話さないことはビジネスの、あなたの失敗を呼び込んでしまいます。がんばれ、会話。
拙書「英語を習うより、コミュニケーションを学べ (ある日、ボスがガイジンになったら!?)」の11章:クリエイティブの法則に詳しく記してあります。ご覧ください。



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