第8回 マスターのプログラムが人気
 今、イギリスの大学の多くはテスト期間です。今回は、イギリスで人気の大学のプログラムについて書きたいと思います。

イギリスと日本・アメリカの大学で、一番大きな違いはその年数でしょう。イギリスの学部は3年間で終了です。大学院は専攻によって異なりますが、多くは、修士課程は1年、博士は3年から4年といったところでしょうか。 
 イギリスではこのMScと呼ばれる1年間の修士課程が人気です。LSEでは修士課程は7割が留学生ですが、このほとんどがMScの学生です。MScは、学部から直接進んでくる学生もいますし、一旦社会に出てから、キャリアのギアチェンジのために来ている学生もいます。学内は、MScの学生で溢れています。

 アメリカではビジネス・スクールやロー・スクールあるいは、エデュケーションなどでは、修士のコースがあり、キャリアアップのために社会人を経て学生として大学に戻ってくるということはあります。ただし、それ以外で、大学院に来る学生の多くは博士課程にまで進もうという人たちです。また、そもそも、修士のコースというのはないところも多いのです。Ph.d(博士)コースの最初の1年か2年が修士に相当するということになっています。アメリカでMScといえば、Ph.Dコースの途中で、おまけのようにもらえるものという感じが強いのですが、イギリスではきちんとMScのコースがあるのです。

 日本でも、最近ようやくビジネス・スクールやロー・スクールができはじめ、社会人が大学に戻ってくる準備が出来てきました。ただ、まだまだ文系では大学院に進むのは稀です。ただし、少子化が進んでいる状況では、社会人が大学院に帰ってきてもらわないといけません。でも、まだまだ社会人が帰って来たくなるような大学院のプログラムは少ないようです。

イギリスの大学は修士のプログラムが充実しています。論文を書かなくても修士号がもらえるTaughtと呼ばれるコースや、博士課程に進むためのリサーチのコースなど、同じ専門のプログラムでも学生の目的によって内容は分けられています。しかも、1年で修士が取れるのです。

 欧米では日本企業のように企業派遣として人材を大学に送るということは稀です(日本でも最近ではその制度はだんだんなくなってきてはいますが)。大学に戻って修士号をとろうと思ったら、自分でお金を出さなくてはいけません。しかも、お金だけでなく、時間もその分とられるわけです。そこで、1年間のプログラムは魅力的です。1年行けば修士号がとれ、キャリアのギアチェンジができるわけです。世界のいろいろな国からこのプログラムに学生が集まっています。

 もちろん1年のプログラムですから、2年のプログラムと得られるものは完全に同じではないでしょう。学部が3年で終わるためプログラムの専門性が低くなってしまったり、その人気のために学生の数が多く、マス授業になってしまったりということもあるのかもしれません。ただ、世界中から学生は集まっています。大きな需要がそこにあるわけです。その需要をうまくつかむプログラムを大学が用意しているのです。修士のプログラムで留学を考えている人は、イギリスを考えてみても悪くないと思いますよ。プログラムも結構細分化されていますし。


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