第33回:ロンドンの第一印象はどう変ったのか
 2001年から始まったこの留学日記ですが、長い留学生活もいよいよ終わりに近づいてきました。先月、とうとう博士論文を提出し、今月に口頭試問を迎えます。これにパスするとアメリカ、イギリスと続いた留学生活も終わりとなります。

この留学日記も、シカゴから合計すると、58回目を迎えることとなりました。
第1回のロンドン留学日記では、シカゴからロンドンに移ってきたときの第一印象について書きました。そこに書かれていることは、ざっとこんな感じです。

・ ロンドンの学生はちゃんと靴をはいている。(アメリカの学生は年中ビーチサンダル)
・ 日本人(らしき人も含む)が多い。
・ 物価が高い。
・ イギリス人は、「イギリス人は太っていて、みだれたみなりをしている」と思っている。
・ ほとんど曇っている。
・ すぐに雨が降る。
・ 道が狭い。

・ 運転のマナーが悪い(アメリカは運転マナーは良い。ただし運転は下手)。
・ 街ゆく人々は無愛想(アメリカ人は必要以上に愛想が良い)。
・ 空き巣、万引き、車上荒らしが多い(アメリカは強盗、殺人が多い)。
・ 交通機関は信用できない(アメリカは公共の交通機関があまりない)。
・ 街で話しかけられることはほとんどネガティブなこと(アメリカは、ほとんどポジティブ)。
・ レストランの食事は高く、美味しくない(アメリカは安く、美味しくない)。
・ おまけに量も少ない(量は多い)。
・ イギリス人はアメリカ人をバカにしている(アメリカ人はイギリス人のことを良く知らない)。

 多くの印象は、ほとんど変りませんでした。第一印象どおりです。物価は高くなる一方で、いまでは地下鉄の初乗りが1000円ぐらいにもなっています。食事が高く美味しくないという印象もほとんど変りませんでしたが、銀河系で水のある惑星があるぐらいの確率で、いくつか美味しいレストランもあることが分かりました。

 だいたい第一印象どおりだったわけですが、新しい印象もでてきました。なにより驚いたのが、イギリス人は思慮深く、礼儀正しく、辛抱強い人が結構いるのです。アメリカ人と比べると、かなり差がある気がします。やはり、紳士淑女の発祥の国なのです。たしかに、うちの近所(アーセナルのスタジアムのすぐそばです)には、思慮は限りなく浅く、辛抱なんてしたことがない人が多く住んでいます。人気サッカーチームのお膝元なので、昼間からビールを飲み、土曜日には必ずパブでサッカーを見て、大騒ぎする人たちが多いのです。まあ、そういうフーリガンたちはひとまずおいておくと、イギリス人たちはかなり辛抱強く、“きちんと”しているのです。辛抱強くないと、このまずい食事や高い物価、信用できない交通機関には耐えられないのかもしれません。
この他に、ざっと、第1印象にはなかったロンドンの印象を挙げるとこんな感じです。

・ ロンドンのレストランはオシャレ。
・ 重い荷物を持っていると助けてくれる。
・ 外国人が暮らしやすい。
・ イヌが頭が良い。
・ ピクニックができる公園が多い。
・ 世界中の美術品がある。
・ 街並みがオシャレ。
・ 雨は良く降るけど、すぐに止む。
・ ウィンブルドンはすばらしすぎる。(USオープンとは違う)。
・ ビールは美味しい。(アメリカのビールは美味しくない)。
・ 電車で席を譲る人が多い。(アメリカ人は、電車に乗らない)。
・ イギリス人は並ばされても文句を言わない。
・ 紹介されるまでは、なれなれしく話しかけない。
・ モノゴトを単純に考えない。(アメリカ人は大雑把)。
・ 前に入った人は、後ろの人のために必ずドアを開けてくれている。
・ アメリカの英語よりも、表現が丁寧。(アメリカの英語は直接的)。
・ イギリス人は、ジェントルマンになりたいと思っている。(アメリカ人は、ヒーローになりたいと思っている。)
・ オシャレグッズには事欠かない。



ロンドンは、物価が高かったり、交通機関が信用できなかったりで、住むには快適とはあまりいえないかもしれません。それでも、街は多様性と刺激であふれています。イギリスのジェントルマンもまだまだ生きてます。これからEUがどうなっていくかはまだまだ分かりませんが、ロンドンはEUの中心であり続けるでしょう。
そんなロンドンに住んでみるのも悪くないですよ。僕はおそらく9月でロンドンを離れますが、ロンドンにはもう一度住んでみたいです。できれば、高級住宅地のケンジントンあたりで・・・・。
株式会社アイ・イーシー 東京都千代田区飯田橋4-4-15
All Rights Reserved by IEC
本サイトのコンテンツの無断転載を禁止します