#11
The purpose is to provide learners with basic knowledge and
questioning skills. The primary focus is on enhancing the logical thinking powers necessary for developing logical questioning skills.




「人が賢明かどうか、その質問の仕方で分かる」
                         -----ナギブ・マフフーズ

面接官から学ぶ質問力……「あなたはわが社でどういうことをしたいですか?」

面接官を現場で10年以上経験している人とお話をする機会があったので、私はどういう戦略で質問をしていくのかを聞いてみた。面白いことに、その人は質問の戦略を意識はしていなかったが、ある一定のルールがあることが分かった。

ベテラン面接官は、以下のようなルールを持ちながら質問している。
1)礼儀正しいかどうかをみる。
2)質問に相手が正確に答えられるかどうかをみる。
3)過去に関する質問を必ずする。
4)未来に関する質問をする。

面接官は、質問を通して、次のようなことを観察する。
受け答えの中で、そもそも礼儀正しいかが判断される。言葉遣いを知らない人は、礼儀を重んずる経験をしたことがないとみなされ、そのような職場での仕事には適応しないと判断されてしまう。これには、対話のときだけでなく、最初の挨拶、名刺の受け渡し、最後のお礼なども含まれる。

ここからは面接の内容。
面接官は、質問を通して、相手が正確に答えられるどうかを判断するという。返答する側で大切なことは、質問に正面から答えられるかどうかである。「〜の経験がありますか?」というような質問に対して、「あります」あるいは「ありません」というような答えを明快に言えるかどうかである。
ここで注意しておくべきことは、答えは肯定でも否定でもどちらでもよいということである。それは正直さの表れという受け取り方ができるからだ。曖昧に答えるよりも、正面から答えたほうがよいのである。ただし、「ありません」ならば、それをバックアップする類似経験をいえるかどうかが問われることとなる。「〜についての経験はありませんが、以前〜社で働いたときは〜をする経験をしています。同じではありませんが、応用できるかと考えています」というような、バックアップする経験をいうことができれば、面接官への影響は大きく変わる。
過去に関する質問は、その人の客観的な素養をみるのに最適である。「〜のときは何をしていましたか?」「なぜ、その分野の仕事を選んだのですか?」というような質問で、その人の経験を聞くのである。客観的な質問なので、答える側はウソをつけない。経験の足りない人にとっては、ここでいかに面接官の質問を乗り切るかが鍵になる。

ここまでが通常の面接官のレベル。
経験豊富な面接官であれば、未来に関する質問も欠かさない。未来に関する質問には、答える形式というのは存在しない。逆にいえば、自由に答えられるということである。過去であれば、客観的な事実が存在しているため、答えは限られてくる。ところが、未来に関する質問は、まだ事実が存在していないのだから、どう答えてもよい。だからこそ、返答者の内面が浮き彫りになる、と面接官は考えるのだ。

未来型の質問とは以下のようなものだ。
「あなたはわが社でどういうことをしたいですか?」
「あなたの人生設計はどんなものですか?」
「5年後のあなたはどういう人間になっていると思いますか?」
このような未来の質問に答えられないとしたら、その人には将来に明確なゴールもなければ夢もないことになる。だからこそ、上級の面接官は、未来型の質問を必ず付け加えるのである。
未来型の質問にはウソがなく、その人のやる気や内面がよく表れる。経験の足りない返答者は、ここで大きなアピールをしなければならないところでもあるのだ。

面接官のルールをまとめると以下のようになる。
ルール1:礼儀正しいかどうかをみる……(目的)人柄を判断する。
ルール2:質問に相手が正確に答えられるかどうかをみる……(目的)論理的思考を判断する。
ルール3:過去に関する質問を必ずする……(目的)相手の客観的な経験を判断する。
ルール4:未来に関する質問をする……(目的)相手のやる気など、精神的素養を判断する。




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