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創考喜楽

第9回:「抽象化思考力とは?」
~特徴をつかんで単純に考える~

COLUMN

今回は、地頭力の基本となる「3つの思考力」の3つめの抽象化思考力について解説したいと思います。

 

 

自分の詳しい分野ほど「枝葉」に目がいく

 

私たちはついつい物事を考えるときに本当に大事なものでない、いわゆる「枝葉」に目を向けてしまいます。これは情報をたくさん持っている場合に特にそうなる傾向があります。いわゆる「専門家」といわれる人の話を聞いていると重要なことと重要でないことがごちゃごちゃになって、情報量や専門用語だけはやたらに出てくるのに「結局何を言いたいのか?」がわからないことがよくあります。

 

これは何も他人事ではありません。私たち自身も自分の専門領域に関しては、その領域外の第三者から見ると「枝葉末節病」になってしまうことがよくあるのです。例えば教育担当者の皆さんが他社の担当者や採用候補者から「御社の教育コースはどうなっていますか?」と聞かれたときについつい「何十コースもあるプログラムのリスト」が頭に思い浮かんだりしないでしょうか。これを相手に説明しようと思ったら、端からこのリストを「頭の中で読み上げる」ことになり、「○○コースに××コース、それから新入社員には△△コースもありますね・・・」等という説明になってしまいます。これは全くそれを初めて聞く人にとって要領を得ない説明の仕方です。恐らく相手が聞きたかったのは、どういうポリシーでプログラムが構成されているのか、他社と比べてどんな特徴があるのか、大きくどんな分類になっているのか・・・といったことでしょう。つまりここでいう「一つ一つのコース」というのが「枝」や「葉っぱ」であり、全体ポリシーや大分類といったものが「幹」ということになりますが、自分が説明する側になるとなかなか「幹を意識した説明」ができなくなってしまうのです。

 

 

抽象化思考力とは枝葉を切り捨てて本質をつかむ力

 

こうした傾向を回避して、第三者にわかりやすく自分の専門分野のことや膨大な情報を整理して説明するためには、常に物事の「幹」つまり重要なことや大きな考え方を意識しておく必要があります。こうした「対象物の特徴をつかみ、枝葉を切り捨てた本質をとらえる」思考力を抽象化思考力と呼びます。これは言うのは簡単ですが、なかなか普段気をつけていないと、上記のような「枝葉末節病」になってしまいます。ここではその簡単な訓練方法をご紹介しましょう。

 

まずは情報量が多くなればなるほど「要は何なのか?」と常に自問自答することを習慣づけてみて下さい。「100ページのレポート」を読んでも、「3時間のセミナー」を受講しても終わった後に「要は何だったのか?」と考えてみるということです。もっと具体的に言えば必ず「30秒以内に」説明できるようにしてみることです。30秒以内というのは「幹」を要領よく説明しなければ絶対にできません。もう一つはポイントを「3つ以内」でまとめてみることです。「ポイントがたくさんあって説明しきれない」と思ったらまだ整理しきれていない(それらがまだ「枝」であって「幹」でない)証拠です。それらをさらにまた大きな分類で考えてみれば「要するに何なのか?」が次第に明確になってくることでしょう。

 

今回までで、「考える力のベース」としての地頭力の3つのベース能力と3つの思考力を説明してきました。次回はこうした「考えること」を普段から意識するにはどうすればいいかについてお話します。

 

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