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第2回:思考停止のWhat型思考の具体例
~職場の「そのままくん」~

COLUMN

前回は本連載のテーマであるWhy型思考を、思考停止のWhat型思考と比較して簡単に解説しました。今回はWhat型思考で行動する「そのままくん」がビジネスの現場で実際にどういう行動をして、どういう課題があるかについて具体的にお話したいと思います。

 

職場の「そのままくん」

 

前回は10のチェックリストでWhy型思考のなぜなぜくんとWhat型思考のそのままくんの行動パターンの相違を示し、「そのままくんとは他人の言ったことや資料に書いてあることを『そのまま』実行に移す人のこと」だとお話しました。これを様々な場面での実例で見ていきましょう。

 

1.上司と部下の関係で
一番よくあるのはこの関係においてでしょう。そのままくんは上司に何かやっておくように言われると、それをとにかく「そのまま」実行します。もちろんこれは何も考えない分「着手が早い」という決定的な長所がある反面で弊害もたくさんあります。言われたことをそのまま実行するだけなので、少しでも条件が変わると応用が利かない、あるいは本来の目的(Why)を考えずに行動するために指示に対して微妙に行動がずれてしまうということです。よく仕事の依頼者が「こんな風にできないかなあ・・・例えば・・・」という言い方をすると、「例えば」で言ったことを「そのまま」再現してしまうというのもそのままくんの特徴です。あるいは、「○○について調べておいて」といわれると、それを何に使うのかも確認せずにとにかく「そのまま」○○という単語を検索エンジンに入れて、出てきた結果をそのままコピー&ペーストしてレポートを作っているそのままくんもいるのではないでしょうか。

 

2.お客様と営業担当者との関係で
これはお客様と営業担当者との関係に拡張しても同様の構図となります。例えばお客様から電話があり、「今度の新商品の説明に来て」と言われて、これを文字通り「そのまま」実行して「はい、・・・以上が新商品の説明です」と言って帰ってきてしまう担当者も多いのではないでしょうか。お客様が商品説明を求めた場合、よほどのひま人でもなければ「説明してもらうこと」が目的そのものであることは決してありませんが、それを確認もせずにとにかくそのまま説明して、自分の役割を果たしたと勘違いしている人も多いのではないでしょうか。これでは売れるものも売れないし、販売機会を見つけることもできないでしょう。

 

3.規則やマニュアルに対して
そのままくんが大活躍するのが、規則を守るという場面においてです。規則やルール、マニュアルを遵守する場面でもとにかくそれを「そのまま守る」のがミッションだと考えますから、雨が降ろうが槍が降ろうが、決められた規則をひたすら守ることだけを考えています。もちろん法令順守の場面等では愚直に「融通が利かない」ことも長所に成りえるのですが、そこまで厳格に適用しなければならないルールの場合でも、それが成立した本来の背景や目的に立ち返ってフレキシブルにそれを運用するということができずに本末転倒になる・・・という場面によく遭遇します。

 

4.噂話やインターネットの情報に対して
そのままくんはよくも悪くも疑うことを知りません。うさん臭い噂話だろうが、とにかく人の言ったことはそのまま信用して根拠も確認せずに他者にどんどん流します。例えば「○○さんはどこそこに異動する『らしい』」という職場の噂話とか、「あそこの店はまずい」というインターネットの口コミサイトをあたかも自分が経験した事実であるかのようにそのまま人に伝えて、時に信用を失ったりします。話の背景や根拠となった事実の裏づけを取ろうという気持ちはほとんどなく、ひたすらそのまま右から左へ流すのが大得意です。ここでもフットワークのよさだけは人に負けないのですが・・・

 

今回は「職場のそのままくん」の行動についてお話しました。もちろん全ての状況においてこれらが悪いわけではありませんが、思考停止の弊害には枚挙に暇がないことがおわかりでしょう。それではこうした思考停止のそのままくんを、自ら考えて行動する「Why型思考のなぜなぜくん」に変身させていくにはどうすればよいのか?次回からはWhat型思考と比較してWhy型思考ならどう行動するのか?そしてその後に教育担当者としての皆さんができることは何なのかについて話を展開していきたいと思います。

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