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創考喜楽

先人の知恵を拝借 故事百選 坂本宇一郎 著

積善の家に余慶あり

 

善行を重ねているような人の家庭には、自然にめでたいことが集まってくるものです。人知れず善いことを積み重ねていくよう努力することは決して無駄にはなりません。

 「易経・坤卦」に出てくる言葉から引用された諺です。ここでの家はファミリー全般のことを指しているので、「善行を積んだ人の報いは、子々孫々まで伝わる」というのが原意です。

 易経の成立や、その注・解説については諸説があり、確かなことは分かりませんが、基本的な筋としては、天地の理・宇宙の運行と人間の運命との関連を追求した書といえます。「善いことをすれば、その報いがある」という因果応報の考え方は、自然の理によるものという理想に裏付けられています。 「余慶」とは慶事の余ったものの意味で、十分に良いことがあるということを意味します。

 

 中国のお正月「春節」の飾物のなかに、ぶっくらした顔の幸福そうな子供が、大きな魚を持っている絵があります。 中国の人にこの絵の意味を聞くと「余」と「魚」という字はともに発音がユーという音で同じであり、喜ばしいことが余るほど来ることを示していると言っていました。「あふれる程の幸福が訪れるように‥‥‥」というおまじないの絵柄だったのです。

 

 出産、進学、結婚のような家族のおめでたや、出世し金持になる、マイホームが手に入るなどは、それぞれ慶事にちがいありません。そしてこれらのことが順調に訪れて来ることが、すなわち人生を豊かにする基本であるといってもよいわけです。

 生涯設計セミナーなどに出席すると、本来の職業や家庭生活以外の趣味の世界を豊かにすることが、大切であると説かれているような場合もあります。しかし、現実的には職業の上で成功し、家庭が幸福であるということが、人生を豊かにする基本であると考えざるを得ません。もちろんこの他に幅広い趣味の世界に生きていくことが出来れば、それに越したことはありませんが、前提条件がしっかりしていないと、余裕をもって幅広い活動はできないはずです。

 

 さて、この格言どおり、「善行を積んでいる家に幸運が訪れてくる」ものでしょうか。私共の生活している現実の世界で善行を行うとすれば…

 

1)災難を蒙った人びとを助ける
2)貧困の人に財政の援助をする
3)老人に優しい言葉をかけたり、弱者に良いアドバイスをする
4)仕事の上で、人知れず隠された形で支援する

 

などがあります。

「陰徳あれば陽報あり」という諺がありますが、これも隠れて善行を重ねていれば、よい報いがあるということで、ほぼおなじ線上にある考え方といえます。