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思考法・自己開発編①~1.MECE 2.ロジックツリー 3.マトリックス

KNOW-HOW

ビジネスのなかでは、社員のキャリアアップにはどの方法をとるのが一番よいのか、また、業績をあげるために企業はどのような策をとればよいかなど、さまざまな問題が発生してきます。そこで、思考法・自己開発編では、判断ミスをせず、ビジネス上で発生するさまざまな問題の、原因究明や問題解決ができる方法を紹介します。

 

今回は「MECE」「ロジックツリー」「マトリックス」の3つの要素について理解を深めてみましょう。

 

1. MECE

 

MECEとは、事項をフレームワークにあてはめ、漏れや重複を防ぎ、効率よく問題解決策を導き出す思考法です。さまざまな視点からものごとをとらえることも可能になります。

 

MECE(ミーシー、ミッシー)とは、Mutually (お互いに)Exclusive(排他的に)Collectively(まとめて) Exhaustive(徹底的に)の略称で、事項をフレームワークにあてはめていき、漏れや重複を防ぐという思考法です。

 

では、MECE とは具体的にどういうものなのか、人間を例に考えてみましょう。人間を男と女で分けるとMECEになります。しかし、人間を男と女と子供に分けると、子供にも男と女がいるので、重複が発生してMECE にはなりません。また、老人と子供で分けた場合も、漏れが生じるのでMECE にはなりません。このように、物事を「A とA 以外」という分け方によってどんどん切り分けていくことが、MECEです。

 

MECE は、会社の限られた経営資源の中で、ビジネスにおける問題解決や原因追究をおこなう際に非常に有効です。問題を考える際、情報に漏れがあれば、重要な項目を見落としてしまい、問題を解決することはできません。それだけでなく、情報の漏れがきっかけで、損失が発生したり、納期の遅延が起こるなど、あらゆるビジネスチャンスを失うきっかけにも繋がります。同様に、事項を重複させることにより、同じ行為を何度も繰り返しおこなってしまうことは、時間の無駄遣いにもなりますし、効率も非常に悪く、混乱を招く原因にもなります。このような状況に陥らないために、漏れや重複を防止するMECE の考え方を適用することが重要になってきます。MECE を適用することによって、効率的に問題を解決へと導くことが可能になるのです。

 

MECE は、問題解決の他にも、膨大な資料や情報を整理する、経験のない分野の事項を調べる、他人に何かを説明するという場合にも役立ちます。また、コスト・品質・時間など、どれか1 つでも欠けてしまうと意味がなくなってしまうプロジェクト・マネジメントにおいても、MECEは有効です。

 

MECE を使った代表的な思考ツールに、「ロジックツリー」があります。ロジックツリーとは、限られた時間の中で、問題の原因をつきとめたり、解決策を具体的にあらわすために、理論展開をツリー状の階層に表現して考えていく思考ツールです。

 

MECE で最も重要なのは、フレームワークです。そして、そのフレームワークに合わせて、物事を分類する際の基準も重要となってきます。「何を知りたいのか」をもとに、切り口を考えます。また、その切り口からどんなことがわかるかも併せて考えなければいけません。

 

2. ロジックツリー

 

ロジックツリーとは、理論展開をツリー状の図にあらわし、考えていく思考ツールです。問題の原因や解決策を導き出すほか、事項の漏れや重複を未然に確認できるなど、さまざまな効果が期待できます。

 

ロジックツリーとは、限られた時間の中で、問題の原因を探求したり、解決策を具体化するために、その理論展開をツリー状の階層に表現して考えていく思考ツールです。

 

ロジックツリーの優れている点は、まず漏れや重複を未然にチェックできるので、無駄な要素の排除と見落としへの対処ができるというところです。次に、原因や解決策などテーマを具体的に落とし込めるので、その対策を立てることができます。さらに、図であらわすことにより、各内容の因果関係が明らかになります。その他にも、思考のスピードアップ、他人への説明のしやすさに繋がるなどのメリットも期待できます。

 

ロジックツリーをつくる際のコツは、とにかく書き出してみる、それぞれをMECEにする、上位(左)から下位(右)へ具体的なものにしていく、既存の枠に入らなければ新しい枠をつくる、客観的に比較・検討する、さらに自分以外の人にもチェックしてもらうことです。問題解決などに使う場合は、上位から下位への分岐を多くても5つくらいにするのがよいでしょう。いきなりたくさんの分岐に分けると、全体を把握できなくなり、漏れや重複が発生する恐れがあるからです。

 

また、注意することとして、ロジックツリーは上位に行くほど抽象度が高くなり、下位に行くほど具体的な原因や解決策になっていなければいけないということが挙げられます。階層間の関係を、「原因-結果」「目的-手段」「全体-部分」などの関係に分け、上位(左)から下位(右)へ分解していきます。そのときに、下位の内容が、上位の原因になっているかどうかを確認する必要があります。

 

次に、各レベルがMECEでなくてはいけません。MECEでないと、情報に漏れや重複がある可能性が大きいということになります。また、ロジックツリーは、要素への展開が、事実をもとに出てくるのではなく、推論することによってつくり出されるものです。ですから、展開した具体的な原因や解決策が、主要課題にリンクしているかどうかを、常に考慮する必要があります。

 

以上のことに留意し、正しい方法で利用することによって、ロジックツリーはその効果を発揮します。

 

 

3. マトリックス

 

マトリックスを使うことで、複雑な事象を図解し、整理できるので、それぞれの相互関係が見え、現状が把握できるようになります。問題点や改善点も明確になるので、ビジネスにおいて非常に有効です。

 

マトリックスとは、一般的には数学の行列という意味で使われる言葉で、おもに数学・経営・電子機器などの分野で使用されます。ビジネスにおいては、縦・横の線で区切った碁盤目や格子のことで、最も代表的な情報整理のためのツールとして使われています。

 

縦・横の2 つの軸でつくられた座標を用意し、情報に含まれる要素を整理します。複雑な事項は、そのまま考えるよりも、表や図にあらわしてみると、理解しやすくなりますし、第三者にも伝えやすくなります。マトリックスも同じで、それぞれの事項を、座標に整理することで、その事項が置かれている状況を客観的に把握することができます。

 

例を挙げると、新聞のスポーツ欄に載っている野球やサッカーの勝敗表です。縦方向に自分のチーム、横方向に相手チームを記入し、交差する部分に勝ち負けの印が入ります。これを見ると、どのチームが強く、どのチームが弱いという相互関係がひと目でわかります。

 

ビジネスにおいては、問題点や、改善点がはっきりするので、戦略を立てるうえで非常に便利です。ビジネスにおいて、マトリックスを応用し、問題や事項を明確にする方法に、「マトリックス法」という手法があります。マトリックス法は、思いつく限りのアイデアや可能性の要素をマトリックスであらわし、あらゆる組み合わせから新たな可能性やアイデアを発見します。

 

マトリックス法のすすめ方は、次の通りです。

 

  1. 変数を絞る
  2. 変数を2 つ選び出す(他社比較と商品戦略など)
  3. 変数ごとに、思いつく限りの要素を出す
  4. マトリックス図をつくる
  5. 欄ごとにデータを分析する
  6. 最も重要な要因について考察する

 

マトリックス図は、重要項目の選出に優れているので、テーマを特定するときなどによく用いられます。また、複数の事象の対応関係を整理することもできるので、現状分析にも役立ちます。

 

マトリックス法をおこなうときは、変数がポイントになってきます。「対象・用途・心理・形態」というようにおおざっぱにせず、「20 代サラリーマン」「20 代OL」のように、絞り込むことが重要です。縦と横の変数を慎重に決めることで、マトリックス法の効果はより発揮されるのです。

 

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