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第6回:
アジの開きはオランダから
▲まだ木々は寒々しいのですけど、
青空がきれいな日が増えてきました。
ニシンのシーズンが待ち遠しいです。
▲オランダにも春の気配がしてきました。
今年は暖冬だったのですが、やはり花が咲き始めるのはうれしいですよね。
ヨーロッパは春から夏が最高なのですよ。
 中国からの餃子が大きなニュースとなっています。アメリカではチャイナ・フリーという動きもあります。ファット・フリー(脂肪分ゼロ)のように、中国からの原材料が入っていない商品というわけです。オランダでも、中国からのコンテナを開けたとたんにガスなどが出て、喉や目に異常がでるという事故が2件起こっています。厚生省のような機関が、毒性のガスや殺虫剤が含まれていたのではないかと調べています。

 このような事件があるたびに、食料自給率が問題になります。これは日本に限ったことではありません。自給率がカロリーベースで120パーセント近くあるアメリカでも同じです。農業は大きな組織票となりやすいこともあり、政治に使われやすいわけです。

 ということで、今月はオランダから食に関する話題を1つ。いまや日本で食べられている食品の多くは輸入されてきているわけです。大豆の多くも輸入されているわけですから、日本のソールフードの納豆も原料は輸入だったりするかもしれません。オランダからも日本には多くの食品が輸出されています。代表的なところでは、やっぱり酪農の国ですから、なんといってもチーズ。ゴーダ・チーズやらエダム・チーズなどです。次に、食品ではないのですが、チューリップ。いろいろあるわけですけれど、なんとアジの開きも輸出しているのです。スーパーでアジの開きを見てみてください、かなりオランダ産のものがあるのです。実は、オランダ近郊の海はアジのすごく良い漁場なのです。普通は、これを冷凍にして輸出して、日本で開きに加工しているわけです。

 そして、その新鮮なアジを使って、オランダでアジの開きを作っている会社がオランダにはあるのです。沼津でアジの開きを作る修行をしたオランダ人のマリナス・ノーデンボスさんが、オランダに帰って北海水産という会社を立ち上げたのです。この北海水産のおかげで、オランダにいても美味しいアジの開きが食べられるのです。アジの開きだけじゃなく、粕漬けやみりん干し、西京漬けなどバラエティも豊富です。1ヶ月に一回届けてくれるので、オランダの日本人のかなりの人たちが食べているのです。配達してくれるのはオランダだけではありません。マドリッドに住む従兄弟も食べていましたし、ロンドンに住んでいるときにもたまに売りに来てくれていました。オランダだけでなくヨーロッパ中の日本人が食べています。これがほんとに美味しいのです。

 もともとオランダではかなり魚介類が食べられています。一番有名なのは、ニシンです。毎年5月の下旬にニシンの漁が解禁になり、その年最初に水揚げされたニシンはヴェアトリクス女王に献上され、それからみんなで旬のニシンを楽しみます。鮭や鱈といった世界中どこでも食べられている魚だけでなく、うなぎも燻製にしたり、稚魚を食べたりします。チーズとコロッケ以外にもオランダ人は食べているのです。北海水産の干物がオランダ人の間に広まるまでにはまだ時間がかかるかもしれません。お箸で干物を食べるのは難しいですし、まだまだ頭が落ちていない魚はグロテスクに映るようです。

 ただ、和食は今ではかなりポピュラーになっています。アメリカやヨーロッパでは、だいたいどこでも和食は食べられます。北海水産の頑張り次第では、そのうち干物も海外で普通に食べられるようになるかもしれません。まあ、日本食がかなりポピュラーになった今でも、海外の和食にはかなりインチキなものも含まれています。「テリヤキ・チキン・セット」を頼むと、お味噌汁がでてきて、次にご飯、サラダ、最後に照り焼きチキンがでてくるレストランもありました。まるで、コース料理なのですよ。お味噌汁が終わるまで、次が来ないのです。なので、干物をオードブルのようにだすレストランもでてくるかもしれません。


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