◆古都にして首都 北京

故宮や長城など数々の歴史文化財と「中国のシリコンバレー」と称される中関村などのハイテクタウンが混在する中国の首都・北京は、日々姿を変えつつも悠久の歴史の重みを随所に感じさせる趣ある古都です。

行政区分では直轄市となっており、約1382万の人口を擁しています。戦国時代の燕国による建都が北京の始まりで、ビールの銘柄などに残る「燕京」という別称はその名残です。

「政治の中心」という性格が強いため、上海や香港に比べると垢抜けない印象の北京ですが、文化・芸術・名所旧跡の充実ぶりでは他都市の追随を許しません。

日本でもファンの多い京劇、ペキンダックに代表される北京料理、書画骨董に興味があれば清代の景観を再現した琉璃廠散策も楽しいでしょう。

市内に世界遺産は5カ所(故宮、長城は別項参照)。天檀は現存する中国最大の祭祀建造物で、明・清の皇帝は、天空を表す青い瑠璃瓦が鮮やかな祈念堂で五穀豊穣を祈りました。

1750年に乾隆帝が造営した清猗園を基礎とする頤和園は、西太后が愛した夏の離宮。1860年に英仏連合軍の侵攻を受け庭園の大半が廃墟と化しましたが、西太后が公費を流用して修復しました。

周口店の北京原人遺跡は、1929年に考古学者・裴文中が原人の頭蓋骨を発見した跡地です。が、その貴重な頭蓋骨は日中戦争時に忽然と消失、いまだ行方はわかっていません。

世界遺産以外にも、日中戦争の発端となった盧溝橋、伝統的な四合院建築が残る胡同、毛沢東の遺体が眠る天安門広場など見所は数々あります。

しかし、2008年に限っては、やはりオリンピックが必見でしょう。本番を前にインフラ整備も急ピッチで進行中ですが、利便性の代償として古い街並みが姿を消しつつあり、五輪開催で北京はどう変貌するのか――期待と不安が半々といった感じです。

ちなみに中国語の共通語「普通話」は、北京語音を標準としたもの。やたらとr音で語尾を濁す(捲舌音)のが、生粋の北京っ子の特徴です。

弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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