今井 久夫氏
株)ホンダコンサルティング
人材育成部・チーフインストラクター

1952年7月生まれ
愛知県出身
NLP(神経言語プラグラミング)マスタープロクティショナー
生涯学習開発財団・認定コーチ&トレーナー

趣味:パラグライダー、ヨット、ホーストレッキング
    茶道(宗和流)、帆船模型の製作
「あなたは人の育成は大切だと思いますか?」 こう尋ねられて正面きって「NO」と答える人はおそらくいないのではないでしょうか。では、「あなたの会社で人材育成のプライオリティはどの程度の位置づけですか?」と聞かれたらどうでしょうか?
それぞれの会社が抱える経営課題の中で、どの程度のプライオリティを持って受け止められているかとなると途端に暗鬱とした思いに駆られる研修担当者も多いだろうと思います。
いわゆる研修費は3Kとも呼ばれ、交際費や会議費と共に、会社業績の如何によって容易に削減対象となる費用科目の常連でもあるのですから。
なぜそうなるのかと言えば、研修の内容自体に時代の流行廃りがあり、何が有効か判断しにくい、実施してもその費用対効果の実証が難しいと言った理由が考えられます。
研修のテーマや内容で最近の例で思いつくものを挙げるだけでも、成果主義、ナレッジマネジメント、ES(従業員満足)、エンパワーメント、コーチング等、「これは良いらしい」となると各社競い合って導入する傾向が見られます。
しかし、結果どうかと言えば、研修直後のアンケート結果を見るかぎりは好評だけれど、その人や現場がどう変わったかと言えば、「・・・?」と言った結末も多いのではないでしょうか?実際、個々の理論や手法の是非とは別に、人の育成に絶対的な原則と呼べるようなものはないと思います。また、原則には必ず例外が存在します。

では、私たち研修担当はどうすればいいのでしょうか?
新しい企画が出たとき、評価会にはかる前に、検討チーム内で評価者役を決めてプレゼンの模擬演習を行う際に、異論を唱える(難クセをつける?)評価者役のことを悪魔の弁護人(Devils Advocate)と呼んだりしますが、研修担当には、このようにあえて異論を唱え吟味を繰り返すことで、「なんとなく良さそうだ」のレベルから、確信の持てるレベルにまで仕立てていく、そうした思考プロセスこそ重要なのではないでしょうか。

また、実際に現場で活用され、効果に結びつけるためには、研修のコンテンツとは別に、どんな前提条件が必要か、どんな仕組みを創り、どう運営すればいいのか、を個々の実情に即して考えてみる必要があります。
その上で、実践する上でのさまざまな阻害要因を取り除いたり、上司からのサポートといった研修以外の要因にも積極的に手を打ち、関わっていくことが不可欠だと思うのです。


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