萩原英男氏
高木工業株式会社
人事部人事グループ課長

1947年3月生まれ
山形県出身
厚生労働省認定 初級産業カウンセラー
中央労働災害防止協会 心理相談員
日本キャリア開発協会 CDA
−企業にとっての財産は「人」である−
よく研修などでも聞くフレーズですが、真の意味で人を「財産」と考えた場合、それは社員一人ひとりを財産ととらえることが大切だと思います。
私たち人材派遣業は、「必要な時に、必要な数、人員を派遣する」ことを生業としているわけですが、業界内での競争が激しさを増す現在、他社との差別化には、人員数の確保に合わせていかに「質の高い人材」を提供するかが大きな課題となっています。
そのためにも「人を育てる」ということが必要なわけですが、それは必ずしも教育することだけでは十分とはいえません。「人を育てる」職場風土や環境をどう築き上げていくか、それこそ人事部である私の部門のミッションであると考えています。

現状はといいますと、各拠点のマネージャーなどは、売上などの数字的側面や自責により、部下に仕事を任せるといったことよりも自分で動いてしまう傾向が強いと感じることがままあります。今後、取引先との関係を強化していくためにも、組織的な営業活動が求められているわけですが、どうしても目先のことにとらわれてしまいがちで、「部下をどのように動かしていくか」「そのために部下をどのように育成していくことが必要か」といった意識が希薄になってしまっているように感じます。
また部下の側としても、「成長したい」という思いは強いと感じますが、上司に対して「本音」をなかなか伝えられないといった話も耳にすることがあります。

「人を育てる」職場風土や環境は、もちろん一朝一夕でできるものではありませんが、だからといって現状に甘んじてしまっては何も解決しません。
そこで私は、地道ながら、社員一人ひとりときちんと向き合い、対話することからはじめました。面談といった形式的なものだけでなく、各拠点に出張に行ったときのちょっとした時間やEメールなどを使って、とにかく対話をする機会をつくることからはじめました。
最初は戸惑いもみえましたが、繰り返しその機会をもつことで、徐々にではありますが距離が縮まってきていると実感します。
それは対話でだけではなく、例えば朝の挨拶で「おはよう」のあとに、「今日は朝から元気がいいな。何かいいことでもあったのか?」「今日はいつもより声に元気がないが、何か悩んでいることがあるのか?」といった一言があるかどうかで、上司と部下の関係は変わってくるものだと思います。
「個々が抱える課題を解決することはできないかもしれないが、一緒になって考える」といった上司の姿勢が大切なのではないでしょうか。そういった小さなことの繰り返しが、やがて職場の風土や環境を大きく変えていくものと信じています。
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