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第6回:この時期こそピグマリオン!
出会いの季節の4月です。学校には新入生が、会社には新入社員が大量に入ってきます。転勤や異動もあるでしょう。とにかく新しい出会いがいたるところにあります。これほど多くの出会いがいっぺんに社会にやってくるのは新卒一括採用がいまだに多い日本ぐらいです。

 新卒が入ってくると毎年でてくるのが、「今年の新人は、○○系」というもの。平成20年の新入社員は「カーリング型」だそうです。周囲がブラシで擦るのをやめてしまうと、減速したり、止まってしまいかねないらしいです。学力低下が指摘されている「ゆとり世代」はもう大学4年生になっています。来年から大量に社会にでていきます。

 「ゆとり世代」や「バブル入社組」、古くは「新人類」などといったラベリングは楽しいのですが、社会的にはかなりの逆機能がありえます。
▲卒業式です。大きくはばいたいてほしいものです。今月には、新入生がたくさん入ってきます。
「君たちはできる!」と思いっきり大きな期待をして、彼らを迎えます。
若い人にたいしてこういったラベリングや思い込みを持つと、どうしても「彼らは、わたしとは違うから・・・どうせ分からないでしょ」と思ってしまう。ネガティブなラベリングが浸透してしまうと、どうしても彼らに対して、投げやりになったり、丁寧な説明や真剣な教育がなされなくなってしまいます。そうすると、彼らもその反応を見て、適当な反応をしてしまう。その結果、「やっぱり、ゆとり世代だから」とラベリングを強化してしまう。これは、世代だけではありません。「あの人は、やっぱり○○○だから・・・」といったラベリングはいたるところで起こります。ネガティブにラベリングと思い込みの強化が回りだしてしまうと、それを挽回するのは大変です。

 このようなラベリングの強化のサイクルはうまく利用することもできます。とにかく「今年の新入社員はできる!」とポジティブにラベリングしてあげる。そうすると、若い人たちの動機付けは上がり、張りきる。そうすると、「やっぱり、できる!」と元のラベリングが強化されるわけです。

 これは、教育心理学ではピグマリオン効果と言われます。教師が生徒に対してポジティブなラベリングをして、大きな期待をかけてあげると、生徒はがんばって成績が上がるといいます。逆に、どうせだめだろうと考えていると、本当に生徒の成績が下がってしまう。低い期待とネガティブなラベリングに応えてしまうわけです。これはゴーレム効果と言われています。

▲待ち焦がれた春です。花粉症はありますが、やっぱりこの季節は良いですよね。
 新入社員は、自分がどのように評価されているかは気になるものです。ネガティブなラベリングがされているのと、ポジティブなラベリングと大きな期待をもって迎えられるのでは大きく違います。ゴーレム効果がでてしまうのか、ピグマリオン効果を引き出せるかは、組織にとっては大きな分かれ道です。パフォーマンスが違ってきます。せっかくこんなに多くの新人がいっぺんに社会にあふれるわけですから、ピグマリオン効果を戦略的に使えれば、日本はもっと元気になるはずです。大きな期待を!

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