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第31回:最近の学生? 結構良いよ!
  次の新聞の記事を読んでみてください。タイトルは、「幼弱だよ若者諸君」です。

≪職業相談の窓口で、「自分に合った職業が分からない」「できるなら働きたくない」といった悩みを訴え、転職を繰り返すうちに焦りと自信喪失に陥る若者が増えている。
・・・中略・・・
驚くほど人間関係が希薄。けんかしたこともなければ、厳しいしつけも受けず、自分の意見を主張したこともない。遊びも知らない。その結果、自己中心的になり、他人に頼ったり甘えたりの依存性が強まり、子どものような大人ができあがる・・・・・・≫
▲ゼミの様子です。最初のゼミではレゴを使ってクリエイティビティや組織論を学んでいます。
最近の学生? 結構良いですよ!
 確かに、これは問題ですね。幼弱化した若者がそのまま「大人」になったとしたら社会的には困ってしまいます。ただ、グッド・ニュースがあります。この記事は今から30年前のものなのです。この記事は1983年8月16日の朝日新聞の記事です。ここ幼弱だと言われている「若者」は、現在、50〜55歳です。

 いつの時代でも「最近の若者は・・・幼弱化している、自主性が足りない・・・」と言われるのです。これは、日本だけではありません。アメリカでもイギリスでも同じように、「最近の若者は・・・」と言われ続けているのです。

 2010年代に入っても「最近の若者は・・・」とは言われ続けています。草食系とかゆとり世代などと言われています。もちろん、それらは多くの場合、ネガティブな意味で使われることが多いわけです。

 もちろん、学習指導要領の改訂が学力に与えた影響などはしっかりと体系的に検証しないといけないでしょう。ただし、「最近の若者は・・・」という言説の多くは、懐古主義的なレッテル貼りです。

 「最近の若者は車を買わない」というのは、若者が欲しくなるような車を作れていないということです。「最近の若者は見栄の消費をしないからモノがうれない」というのは、「私たちは、消費者のニーズを掴みきれていません」と言うのと同じです。「最近の新入社員はすぐにやめてしまう」というのは、「やりがいをもって働く機会を創りだせていない」ということです。問題なのは「最近の若者」なのではなくて、「最近の若者は・・・」と言う側です。変化についていっていないのは、こちら側なのです。

 この時期、日本は「フレッシュマン」であふれています。彼らはいつも若い。ある側面では自分たちとは違うところがあるかもしれません。しかし、彼らは、代わりのいないこれからの社会の主力選手です。「新しく入った若いのはどう?」と聞かれたら、ぜひとも「結構良いよ!」と。



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