情は人の為ならず
他人のためになると思われることを、その人の心情になっていろいろめんどうをみてあげることは、その人のためになるだけではなく、人間関係を良好にすることになり、結局は自分のためになるのだという教えです
 最近の若い人の会話のなかで、この言葉を逆に解釈し、「いろいろ他人の世話をやいたり、気を使ってあげると、その人を甘やかしてしまうから、結局はためにならない」というように使っていました。
 つまり、情けをかけると逆効果となってしまって、その人のためにならない、したがって自分のためにもならない、というように受け取っているのでした。しかし、このことわざには「情が仇」というものがあります。
 現実にはどちらも真理のような気がします。人の世話がすきで、わが子のように教え育てた人に、ひどい仕打ちをされたり、あざむかれたりすることも少なくありません。俗に「飼い犬に手を噛まれる」などの表現もあります。つまり、手塩にかけた人物が恩を仇で返したということが、世間では往々に見られるということです。若い人が、逆に取って解釈するのも無理がない、といえましょう。

 人に情けをかけることにより、全然逆の効果がでることに関して、もう少し分析してみましょう。
 1)相手をよくみて情けをかける
 2)情けをかける方法をよく考える
 3)自分自身の生れつきの資質や立場を反省してみる
この3点から「情けについての矛盾」の真理が見えてきます。

 まず第1に「人を見て法を説けというように、同じことを言ってもその効果が人によって違うということです。つまり、相手側が、初めから利益を求めたり、裏切りを予定しているような場合は、下手に好意を示して努力すれば、逆手に取られてしまうのは当然です。
また、意志が弱く、依頼心の強い人に情けをかければ、「情けが仇」になることが多い訳です。
 次に、相手に便宜を与える方法や手投が誤っているときは、本人は人のためになると思っているのに、逆に恨まれる結果に終わるようです。あまり、押し付けがましい態度で恩をきせたり、他人にも分かるようなあからさまな方法は、情けをかけられた方の反発を買うことは必至です。
 ほんとうに相手側が欲していることを、あっさりと、他人に知れないような形で与えるという配慮が必要といえましょう。
 第3は、人生を送る基本則の一つである「己を知る」ということです。
 お人よしと言われるような、いわゆる好人物として世に通っているような人の場合は、「おせっかい」とか「またあの人の趣味が始まった」ぐらいに受け取られ、その人の真意は伝わりません。地位の高い人や、利権にかかわる権力者が「情けをかける」ことは周囲にあらゆる配慮を要します。
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